米AI開発企業アンソロピックは、中国のAI大手ムーンショットAI(月之暗面)が数千件に上るユーザーからのリクエストを、アンソロピックのAIモデル「Claude(クロード)」にひそかに回し、その回答を自社モデルによるものと装っていたと非難した。

アンソロピックが10日に公表した報告書によると、ムーンショットAIはユーザーからのリクエストを自社のAIモデル「Kimi」で処理せず、ユーザーに知らせずに、アンソロピックのAIモデルへ振り向けるルーティングを行っていた。ムーンショットAIから30万件近いユーザーからのリクエストが、アンソロピックのAIモデル「Opus(オーパス)」に振り向けられているのを検知したケースもあったという。アンソロピックは中国国内から自社技術へのアクセスを認めていないため、ムーンショットAIは5380件の不正アカウントを使い、シンガポールや日本からアクセスしているように装ったという。

ムーンショットAIの行為は「蒸留」と呼ばれるプロセスの一環だったと、アンソロピックは判断した。蒸留とは、開発者が高性能なAIモデルの出力を利用して、別のAIモデルを訓練・改良する手法だ。今回の場合、ムーンショットAIはアンソロピックのシステムから得た回答を自社AIモデルの訓練に使用したと、アンソロピックは説明した。DeepSeek(ディープシーク)と小米(シャオミ)も同様の行為を行っていたと、アンソロピックは指摘した。

米治安当局は今月、DeepSeekやムーンショットAIを含む中国の主要AI企業が蒸留を通じて、米企業が独自に蓄積した知識を組織的に抽出していると非難していた。米当局はシリコンバレーの開発企業に対し、自社の成果を保護するよう警告した。アンソロピックを含む米テクノロジー企業は過去にも、ムーンショットAIなどの中国企業が蒸留を行っていると非難している。ムーンショットAIはこの夏、「Kimi K3」モデルが大ヒットしたことで、中国屈指の有力AI開発企業として台頭した。

ムーンショットAIはコメントを控えた。DeepSeekと小米の担当者には通常の営業時間外にコメントを求めたが、現時点で返答はない。

原題:Moonshot Routed User Requests Through Claude, Anthropic Says (1)(抜粋)

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