AIが住む人と会話し、ロボットが身の回りの作業を担って生活を支える――。アクション映画「アイアンマン」で主人公トニー・スタークが暮らすような家の実現を目指し、日本のスタートアップMW(ムウ、東京都港区)がロボットを搭載した住宅を開発している。2028年の実用化を計画する。

MWは、洗濯物を畳み、購入した食料品を仕分けして冷蔵庫に収納するといった作業を担う家事ロボットを手掛ける。天井のデッドスペースを活用し、レール上を移動するロボットを住宅に組み込む仕組みだ。同社は10日、ロボットが家事をこなす様子をメディア向けに初めて公開した。

実演では、ロボットが乾燥機から取り出したタオルやTシャツを畳んだ。また、しょうゆなど常温保存する食品と冷蔵が必要な食品を判別し、冷蔵品を冷蔵庫まで運んで収納した。水のペットボトルは扉の内側に収納できた一方、にんじんは途中で落とした。現在は作業の成功率を計測していないが、28年の導入時には90%を目指すという。

中国や米国では、ヒューマノイド(人型ロボット)の開発競争が激化している。共同創業者で最高経営責任者(CEO)の成田修造氏はインタビューで、日本がこの競争で「非常に遅れている」と認める一方、住宅向けでは二足歩行型とは異なるアプローチに勝機があると指摘した。

日本の住宅は狭く、二足歩行型は効率的ではないうえ、子どもやペット、高齢者の近くで転倒するリスクもあると説明する。

開発中のロボットは、洗濯機や食洗機ではできない洗濯物を畳んだり皿をしまったりする「最後のひと手間」を担うことを目指す。共働き世帯を顧客に想定し、「家事にかかる時間を減らしたい」と話す。自身も共働きで3人の子どもを育てる。

資金調達へ

MWは27年をめどに横浜市に実証住宅を建設する。開発者らが実際に生活しながら、ロボットの安全性や作業品質、速度を検証する。28年には顧客向け住宅への導入を始め、35年ごろには年間1万戸規模を目指す。29年以降は海外にも積極的に展開していく。

事業拡大のための資金確保も目指す。成田氏は、2年以内に100億円程度を事業開発段階の「シリーズA」で調達したいと明らかにした。

成田CEO(10日、都内)

MWは6月、創業期の「シードラウンド」でベンチャーキャピタル(VC)や個人投資家などからの出資と、金融機関などからの借り入れで累計30億円を調達した。

同社はロボットだけでなく、住宅の設計や施工、ソフトウエアも自社で手掛ける。まず自社住宅でハードとソフトを一体開発し、直接販売するモデルを確立。その後は大手住宅会社などへのシステム提供も視野に入れる。

同社によると、進行中の住宅プロジェクトは20棟。このうち販売済みを含む6棟は完成に近い段階にあり、残る14棟は建設中という。価格は土地と建物を合わせて2-4億円。東京・目黒区の住宅には約1000件の問い合わせがあり、最初に内見した日本在住の外国人実業家が購入を決めたという。

成田氏は今後のシリーズAでの調達について、現在協業の可能性を協議しているホテルや小売りなどが投資家として参画することもあり得ると話した。

--取材協力:Katria Alampay.

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