中国は、全国社会保障基金(NSSF)に対し、香港との投資制度を通じたオフショア債の購入を認める計画だ。香港で人民元建て資産への需要を高める取り組みの一環となる。

中国本土の機関投資家が香港を通じてオフショア債に投資できる南向きボンドコネクト「南向通」を利用することで、NSSFは中国当局に海外投資枠を申請せずにオフショア債を購入できるようになる。これにより投資業務を簡素化できるほか、香港の債券市場に投資する新たな経路を確保できるという。事情に詳しい関係者が非公開情報として匿名を条件に明らかにした。

関係者の1人によると、5680億ドル(約87兆800億円)規模のNSSFを管理・運用する全国社会保障基金理事会は、外部の資産運用会社を通じた点心債(本土以外で発行された人民元建て債)への投資計画を準備している。

今回の措置は、香港の債券・為替市場の発展を支援し、人民元の国際利用をさらに促進する取り組みの一環だ。中国本土の債券利回りが歴史的な低水準付近にある中、中国の投資家はより高いリターンを求めて海外に目を向ける傾向を強めている。

一方、中国企業はより多くの投資家を呼び込むため、オフショア市場では総じて本土より高い利回りを提示する姿勢を維持している。例えば国営送配電会社の国家電網は先月、表面利率2.18%の10年物点心債を発行した。翌週に本土で発行した同年限の債券を約20ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上回る水準だった。

中国人民銀行(中央銀行)と全国社会保障基金理事会にコメントを求めたが、直ちに返答はなかった。

全国社会保障基金理事会の最新の年次リポートによると、2025年末時点の海外投資額は5800億元(約13兆3000億円)で、総資産の15.23%を占めた。海外主要市場で債券利回りが歴史的な高水準にあった局面を投資機会として活用したという。25年の運用収益率は全体で13.22%だった。

中国人民銀の潘功勝総裁はこれまでに、南向きボンドコネクトの年間投資枠を8000億元に引き上げると表明している。当局は同制度をマカオ市場にも接続するほか、南向きボンドコネクトを通じて取得した債券を担保とする債券レポ取引の導入も計画している。

中国は21年に南向きボンドコネクトを導入した。当初は銀行による利用が中心だったが、現在では適格国内機関投資家(QDII)制度に頼らずに本土の金融機関が海外の債券に投資する主要な経路となっている。

ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)によると、中国本土の機関投資家は7月、南向きボンドコネクトを通じてオフショア債を推計496億元買い増しした。オフショア債への純資金流入は14カ月連続で、金額は6カ月ぶりの大きさとなった。BIは、南向きボンドコネクトの投資枠拡大により、点心債を中心とするより幅広いオフショア資産に本土の資金が流入しやすくなるとみている。

点心債の発行額は近年、過去最高を何度も更新している。中国政府による人民元の国際化推進や、比較的低い資金調達コストが追い風となっている。ブルームバーグがまとめたデータによると、26年の発行額はこれまでに約8300億元と、前年同期比で30%余り増加している。

原題:China Plans to Let $568 Billion Fund Tap Southbound Bond Connect(抜粋)

--取材協力:Ran Li、Dingmin Zhang.

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