(ブルームバーグ):学校の課題にAIチャットボットを使わない生徒は、利用する生徒より成績が良い。経済協力開発機構(OECD)がまとめた2025年国際学習到達度調査(PISA)で明らかになった。AIが子どもの学習に悪影響を及ぼしている可能性を示す、これまでで最も広範な証拠の1つとなる。
報告書によると、記述課題の文章作成にAIを全く、またはほとんど利用しないと回答した生徒の科学のテストの得点は509だったのに対し、毎日、またはほぼ毎日利用する生徒は481だった。社会経済的状況を調整した上での28ポイントの差は、約1年半分の授業に相当する。
新しいテーマに関する下調べや、指定された読書課題の要約など、AIの他の利用方法でも同様の傾向がみられた。

OECD教育・スキル局長のアンドレアス・シュライヒャー氏は「スポーツを見るだけではなく、実際に体を動かすことで健康になるのと同じように、学習もコンテンツを消費するだけではなく、新しい教材に対して頭を働かせ、生産的な認知的努力をすることで生じる」と記した。
同氏はAIについて「支えであって、頼みの綱ではない」ものとして使うべきだと指摘。「テクノロジーがそうした認知的努力を可能にしたり、促進したりするところでは、生徒は成長する。テクノロジーが学習に必要な生産的努力を省略させてしまえば、生徒の発達を損なうことになる」と付け加えた。
PISAは15歳の生徒を対象に科学、数学、読解の能力を測定する。各国の教育制度を評価する主要な指標の1つとして、政治家や政策担当者から高い関心を集めている。8日に公表された結果は、91カ国の76万人を超える生徒から抽出した代表性のある標本に基づく。
前回の調査は22年に実施されており、生成AIが広く普及してから結果が公表されるのは今回が初めて。AIは職場の生産性を高める手段として広く期待される一方、AIチャットボットが教育をどう変えるかを巡る懸念も強まっている。特に、生徒が難しい課題に自ら取り組まずAIに任せる「認知的オフローディング」のリスクが問題視されている。これは教室でのスマートデバイス利用を巡る広範な議論の一環でもあり、学校での携帯電話禁止を検討する国が増えている。
教育におけるAIの影響を示す具体的な証拠は比較的少ないが、6月に公表された中国の生徒2万7000人を対象とした研究では、AIの利用によって宿題に費やす時間が減り、課題の得点は上昇したものの、試験の成績は大幅に悪化した。
全米最大の学区であるニューヨーク市は先週、新学年度から小中学生によるAIツールの利用を禁止した。英国では資格試験規制当局のトップが、特に提出課題などでAIを使った不正行為に警鐘を鳴らしている。マサチューセッツ工科大学(MIT)が先月公表した報告書は、AIが大学学部レベルの課題の大半をこなせるようになったことから、教育、評価、学生支援を再設計する必要があるとした。
AIを巡る議論は二極化を強めている。支持派は、AIが特に学習に苦戦する生徒への個別学習を通じて教育を変革する可能性があるほか、教員の事務作業にかかる時間を減らし、生徒のニーズをより的確に把握する助けにもなると主張している。
PISAの報告書によると、生徒の間でAIの利用は広く浸透しており、学校の課題に全く、またはほとんどAIを使わないとの回答は14%にとどまった。ただ、国による差があり、日本では約40%だったのに対し、ベトナムでは4%だった。ほぼ毎日の利用は全体の20%未満で、「比較的まれ」だった。

しかし報告書は、AI利用と学校での成績の関係は複雑で、この技術をどう使うかによって異なると強調した。批判的かつ節度を持ってAIを利用すれば、学習効果を高める可能性を示す証拠も一部にある。
AIを週1-2回程度利用する生徒は、利用頻度がそれより低い生徒だけでなく、毎日利用する生徒よりも成績が良い傾向にある。「学習を助けてもらう」ためにAIを使うと回答した生徒では、週1回程度利用する生徒の成績が、全く利用しない生徒を含む全ての比較対象を上回った。
AIを毎日利用する生徒のうち、授業でAIが生成した情報の妥当性を評価するよう日常的に求められている場合、そうでない生徒より科学の得点が13ポイント高かった。これは授業半年分を超える差に相当する。

原題:School Students Who Use AI Get Worse Test Scores, OECD Warns(抜粋)
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.