(ブルームバーグ):米国は8日、イランの航空部門を支援する企業などに対する措置を発表した。トランプ政権による新たな制裁措置の一環だが、こうした措置はイランの主要貿易相手国にさほど大きな影響を与えていないとみられる。
米財務省外国資産管理局(OFAC)は複数のイラン航空会社を特定国民・資産凍結対象者(SDN)リストに追加したほか、トルコやアラブ首長国連邦(UAE)などで、イランのマーハーン航空を支援してきた企業を制裁対象とした。マーハーン航空は中東や中国への運航を続けている。
財務省は声明で、「イランの航空部門を支援した」として、企業や個人など計36の対象を制裁対象にしたと発表した。イラン政権が武器や人員、不正な貨物の輸送に航空部門を利用していると指摘した。
さらに、「イランが米国製航空機や機密技術を入手するために利用している、実態を隠すための企業や海外の仲介業者、偽装した積み替えルート」を問題視した。この中には、最近、UAEとオマーンを経由して迂回(うかい)輸送された少なくとも3機のボーイング777型機も含まれるという。
財務省の金融犯罪取り締まりネットワーク(FinCEN)も、イランの航空部門との取引に伴うリスクについて金融機関に注意喚起した。イランによる弾道ミサイルやドローン(無人機)の部品調達を航空部門が支援しているとした。
財務省は先週、イランとの関係が疑われるとして、資本金が約3400万ドル(約52億円)に過ぎないトルコの小規模な投資銀行を制裁対象に指定した。同行は関係を否定している。8月下旬には、エジプト2位の銀行バンク・ミスルのUAE支店を米金融システムから排除する措置を取った。
ベッセント米財務長官は発表文で、「これまで制裁対象となっていなかったイランの航空会社と取引するすべての者への警告だ。これらの航空会社はすべて、きょう制裁対象とした。世界の金融システムから締め出される恐れがある」と述べた。
米国の措置はこれまでのところ、制裁の専門家から期待外れとの見方が出ている。
中東や中国を含め、イランと取引を続ける主要貿易相手国の多くは、ベッセント氏がイランに対する「経済版Dデー」として打ち出した米国の新たな制裁措置を意に介していないようだ。イランは数十年にわたる経済制裁に加え、数カ月に及ぶ米国とイスラエルによる爆撃や、港湾への海上封鎖にも耐えてきたが、戦略上の判断を変えていない。
規模の小さい企業や個人、あるいはすでに制裁対象となっている企業に追加制裁を科しても、効果は限られる可能性がある。米国は、イラン産原油の90%以上を購入する中国や中国の銀行を制裁対象とすることには慎重だ。そうした措置に踏み切れば、ほぼ確実に中国政府の報復を招くためだ。
米国は、イラン軍やイスラム革命防衛隊(IRGC)、戦争を巡る意思決定に実質的な影響を及ぼさない可能性がある規模の小さい企業・団体を主な対象としてきた。
原題:US Targets Iran’s Airlines As New Sanctions Push Continues (1)(抜粋)
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