ネパールと中国を襲った大規模な土石流。ヒマラヤの氷河の崩落が引き金になったとみられていますが、専門家の調査で“予兆”とみられる現象があったことも分かりました。

記者
「行方不明者の写真とともに、遺体の写真も貼られています」

増え続ける土石流の犠牲者。

発生から8日が過ぎた今も、被災地では捜索が続いていて、ロイター通信によると、水力発電所のトンネル内で作業員ら数十人が生存している可能性があるということです。

ネパールと中国で死者は1200人を超え、行方不明者は日本人5人を含む5000人以上。この大災害を引き起こした要因とみられているのが、ヒマラヤの氷河です。

記者
「私の後ろ、遠くに見えるのが、中国との国境地帯にあるヒマラヤ山脈です。標高5000メートルの地点から氷河が崩れたとみられます」

国際的な専門家団体が公表した報告書によると、氷河と岩盤が崩落する数日前から、とけた水が茶色に変色していたり、斜面に亀裂が広がっていたりと、「予兆」とみられるものがあったということです。

報告書を共同作成した科学者 ジェイコブ・スタイナー氏
「(氷河の)崩壊が差し迫っていることを示す明確な兆候ではないが、氷河の下で何かが起こっていた可能性は高い。我々が今後、どんな予兆を察知すべきかの教訓となるだろう」

崩落した氷河は1990年からの30年間で縮小し、岩盤も不安定な状態になっていたと指摘しています。

ヒマラヤの氷河をめぐっては、以前から温暖化の影響で急速にとけていることが指摘され、国連はネパール側で過去30年間に3分の1の氷河が失われたと分析しています。

地元の旅行ガイドは…

ネパール人ガイド
「あの山は、以前は(雨季でも)白い雪に覆われていたのに今は真っ黒に見える」

ネパールのシャハ首相は、国際社会にこう訴えました。

ネパール シャハ首相
「この災害は気候変動に伴って、ヒマラヤ地域で直面しているリスクが急激に増大していることを強く示している」

命を守るにはどうすればいいのか。専門家は、「各国が氷河などの監視体制や情報共有を強化し、実用的な警報システムを整備すべきだ」と指摘します。

アナリスト アビラル・カトリ氏
「実際に災害が起きた際、リアルタイムでの国境を越えた情報共有は機能していません。自然には境界がないからこそ、各国が協力する必要があるのです」