(ブルームバーグ):米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は社員に対し、CEOの職を離れるのは名残惜しいが、後任のジョン・ターナス氏のリーダーシップには「大きな安心感」を抱いていると伝えた。
クック氏はCEOとして最後の日となった31日、全社員宛てのメールでこう述べた。クック氏は2011年8月、スティーブ・ジョブズ氏の後任としてCEOに就任。15年間の在任中に、Apple WatchやAirPodsを投入したほか、iPhone、iPad、Macの製品ラインを大幅に拡充した。
クック氏はメールで「ご存じの通り、私はアップルを去るわけではない。ただ、心から愛してきたCEOの職を離れる」と説明。「この仕事を離れるのがどれほど名残惜しいか、今はまだ想像もつかない。それでも、この決断には心から納得している」と述べた。
後任のターナス氏については「世界を変える製品を生み出すのに何が必要かを、ジョンほど理解している人はほとんどいない。彼がアップルを率いることを心から楽しみにしている」とした。
クック氏は今後、会長として米国や中国を含む世界各国の政府との関係を引き続き担当する。
以下は、クック氏がCEOとして全社員に送った最後のメールの日本語訳。
チームの皆さんへ
きょうは、私がアップルのCEOを務める最後の日です。いつかこの日が来ることは分かっていました。それでも、実際にその日を迎え、こうしてこの言葉を書いていることが今も信じられません。私はこの会社と、ここで働く皆さんを心から愛しています。この日を迎えるにあたり、皆さんから寄せられた温かい気持ち、毎日力を尽くしてくれたこと、そして何より、皆さんのリーダーを務めるという生涯に一度の栄誉を与えてくれたことに、どうしても感謝を伝えたいと思いました。
振り返れば、私が成し遂げてきたことは全て、皆さんのおかげです。皆さんは、私の力を最大限に引き出してくれました。これほど素晴らしい人たちと共に働いたことは、これまでの人生で一度もありません。そして毎日、その素晴らしさを改めて実感しています。
アップルには、本当に特別な何かがあります。私が最も誇りに思うものは、年次報告書には決して表れません。この会社は、企業文化が何ものにも勝ることを証明しています。私たちは、自分たちが生み出すものには意味があり、この世界を今より良い場所にして次の世代に引き継ぐ機会と責任があるという信念を共有しています。アップルはその思いを育んでいますが、それは皆さんがここに来るずっと前から、一人一人の中にあったものだと私は思います。それこそが皆さんをこの会社へと導き、今も日々の仕事を突き動かしているのです。
私たちは力を合わせ、一人では想像も実現もできなかったはるかに大きなものを生み出してきました。それこそが、私たちの成功の秘訣です。私たちは互いの力を最大限に引き出し、支え合ってきました。スティーブがかつて表現したように、私たちが「世界に大きな足跡を残す」ことができたのは、私たちが何者で、何を信じ、何を大切にし、世界をどう見ているか、その全てがあったからです。私たちは本当に幸運です。そして何より、私は本当に幸運です。
ご存じの通り、私はアップルを去るわけではありません。ただ、心から愛してきたCEOの職を離れます。この仕事を離れることがどれほど名残惜しいか、今はまだ想像もつきません。それでも、この決断には心から納得しています。皆さんを率い、あらゆる場面で共に歩むことができなくなるのは寂しく思います。一方で、ジョンのように聡明で素晴らしく、有能な人物にかじ取りを託せることを、とても心強く感じています。世界を変える製品を生み出すのに何が必要かを、ジョンほど理解している人はほとんどいません。彼がアップルを率いることを心から楽しみにしています。
皆さん一人一人に、私がどれほど感謝しているか、そして皆さんのCEOを務められたことがどれほど光栄だったかを知っておいてほしいと思います。何より、これからもアップルという素晴らしい会社の一員であることを誇りに思い、常に全力を尽くしてほしいと願っています。互いを思いやり、私たちが製品やサービスを届ける人々を大切にしながら、持てる力の全てを仕事に注げば、私たちが世界にもたらすことのできる変化に限界はありません。
新たな役割で、アップルパークや世界各地で皆さんと再会できることを楽しみにしています。
私の全てを込めて、これからもずっと皆さんと共に。
ティム
原題:Apple’s Cook Says He ‘Will Miss This Work’ in Final Memo as CEO(抜粋)
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