「タカ派講演」と受け止められたジャクソンホール講演

FRBのウォーシュ議長は8月28日、カンザスシティ連銀主催のジャクソンホール経済シンポジウムで講演を行った。ウォーシュ議長の講演タイトルは「In Our Time」(われわれの時代において)(筆者訳。以下同)であった。講演ではAIが生産性や成長率に与える影響、フォワードガイダンスのあり方、金融政策運営の原則など幅広い論点が扱われた。

もっとも、市場の関心は政策スタンスに集中した。ウォーシュ議長は、このところのインフレ指標は予想より改善したものの、基調的なインフレ率が意味のある形で改善したとは言えないとし、物価は十分な速度で目標へ向かっていなければならず、そうでなければ我々にはまだやるべき仕事があることを強調した。
金融環境は必ずしも景気抑制的とは言えないといった趣旨の発言もあった。こうした発言を受け、市場では9月FOMCでの利上げ観測が高まり、想定以上にタカ派的な講演と受け止められた。

しかし、講演全体を丁寧に読むと、「9月利上げを示唆した講演」と単純化するのは適切ではない。なぜなら、ウォーシュ議長は講演の結論部分で「私は本日、ある決定にコミットしているのではなく、規律にコミットしている(I stand here today committed to a discipline, not to a decision)」と明言しているからである。