(ブルームバーグ):来年度予算編成に向けた見積もりを各省が提出する概算要求が今月末に締め切りを迎える。市場では高市早苗首相が「強い経済」の実現に向け、どこまで歳出を増やし、その財源をどう確保するのかに注目が集まっている。
事情に詳しい関係者によると要求総額は合計で130兆円を超える見込みだ。補正予算からの脱却や、要求の上限を設けない「新たな投資枠」の創設で予算全体が膨らみやすい状況にある。財務省が年末までに査定し、予算案を確定する。今年度の当初予算と補正予算を合わせると約125兆円だった。
金利上昇を受け、利払い費などの国債費も急増する。財務省は28日、来年度予算で前年当初比17%増となる36兆6386億円を要求すると発表した。利払い費の算出根拠となる積算金利は3.8%と、概算要求としては1998年度以来29年ぶりの高い水準に設定した。
高市政権は、財政支出を増やして成長を押し上げ、債務残高対国内総生産(GDP)比の安定的な引き下げを目指す方針だ。骨太の方針で示した「通年の国債発行額」を通じて市場の信認確保に努める考えで、予算編成過程では国債発行の規模が焦点となる。

高市首相は28日付の読売新聞のインタビューで、新規国債発行額を40兆円程度に抑えたいと発言。経済成長と財政健全化を同時に進めていると改めて強調した。大規模な投資と、それによってもたらされる経済規模の拡大が、最終的には財政をより持続可能な状態にするのに役立つとの考えを示した。

政府は先に示した財政見通しで、日本が十分な経済成長を維持する限り、年間10兆円の追加支出を行っても債務残高のGDP比は上昇しないとの試算を示していた。
財務省が2月に示した試算によると、名目成長率を年率3%と仮定した場合、税収は今年度の推計83.7兆円から来年度には87.8兆円に増える可能性がある。ただ、高市首相が計画する飲食料品の消費税減税により税収は約5兆円減少する見通しで、総額は約83兆円に押し下げられる。
減税財源について、高市首相は税外収入を活用する可能性も示している。今年度の税外収入は約9兆円だった。これらを合わせると歳入は少なくとも90兆円となり、予算規模が130兆円に達した場合、40兆円近い財源不足が生じる。
新規国債で穴埋めすれば、今年度の当初予算と補正予算の財源として発行した計32.7兆円を大幅に上回るが、25年度の40.3兆円に匹敵する。
日本総研の井上肇上席主任研究員は「40兆円台に少し乗ってくる程度であれば例年並みだ。大きく財政が弛緩(しかん)したという形にはならないと思うし、市場もそのように見てくれるのではないか」と分析する。
予算編成に当たって国債発行額に上限を設ける事例は、小泉純一郎内閣の時にもみられた。01年5月の所信表明演説で、財政再建を進めるため歳出を徹底して見直すとし「国債発行を30兆円以下に抑えることを目標とする」と発言していた。ただ、小泉氏は初年度以降、上限の維持に苦戦した。
高市首相は、国内投資を促すための政策には支出をためらわない考えを示している。
(国債費についての記述を追加して更新します)
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