(ブルームバーグ):高市早苗首相は、米国から制裁措置を受けた国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長を擁護する方針を明言した。当初は「大変残念だ」と述べるにとどめたが、超党派の議員連盟などから弱腰との指摘を受け、反論した格好だ。
「赤根所長を守らなければならないし、ICCの最大の資金拠出国として大切な組織も守っていかなければならない」。高市首相は25日夕、記者団の質問に応じる形で、自身の立場を説明した。赤根氏が直面する危機感と懸念も共有しているとし、米国には措置発表のぎりぎりまで「さまざまなレベルで働きかけを行っていた」と語った。
米政府が赤根氏への制裁を公表した直後、日本政府は19日付の外務報道官談話で「大変残念」と指摘。高市首相は同日夕、同談話を引用した上で、「米国を含む関係国と意思疎通を継続しながら対応する」と記者団に語っていた。
これに対し、自民党の中谷元・前防衛相が共同会長を務める「人権外交を超党派で考える議員連盟」は24日の総会でまとめた声明で「抗議の言葉も、撤回の要求もない」と批判。当事国であるはずの日本の反応は欧州各国などと比べて「段違いに弱い」と突き上げた。総会には石破茂前首相、中道の階猛幹事長らも出席していた。
高市首相の25日のコメントは政府の姿勢を疑問視する声を受け、赤根氏やICCの活動を支持する姿勢を明確にした。首相は政府の対応について「弱腰とのご批判は当たらない」と強調。赤根氏とは政府として「緊密に意思疎通」を行っており、送金などに支障が生じないよう手続きを後押ししてきたとも語った。
トランプ大統領とその支持者たちは、かねてよりICCが米国の内政に干渉していると非難してきた。トランプ氏は第1次政権時、アフガニスタンにおける米国の戦争犯罪疑惑を捜査したとして、ICCの検察官らに制裁を科した。赤根氏らへの制裁は ICCが 米国とイスラエルを不当に標的にしていると主張する米政府からの攻撃がさらにエスカレートしたことを示している。
2002年にオランダのハーグに設立され、戦争犯罪、ジェノサイド(集団殺害)、その他の残虐行為を起訴することを目的とする同裁判所には、米国もイスラエルも加盟していない。同裁判所は、ロシアのプーチン大統領を含む60件の逮捕状を発行し、21人を拘束している。
24年にはガザ地区での戦争犯罪の容疑をめぐり、イスラエルのネタニヤフ首相に対し、逮捕状を発行した。イスラエル政府はこれらの容疑を否定しており、バイデン政権も同裁判所の権限を認めなかった。
--取材協力:Alastair Gale、照喜納明美.
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