(ブルームバーグ):イランのアラグチ外相とオマーンのバドル外相は、ホルムズ海峡の通航再開に向けた「暫定的な枠組み」について協議した。国営オマーン通信が、両国の共同声明の内容として伝えた。ホルムズ海峡の航行をめぐり、両国は長期にわたって協議を進めている。
声明によると、今回の構想は「一時的な共同海上回廊」の設置と機雷除去の取り組みを通じ、この海域での安全な航行の回復を目指すものだ。
両国は今後も実務者協議を続け、恒久的な海上回廊や将来のホルムズ海峡管理に加え、情報交換、船舶交通の管理、関連する海事・安全保障サービスの提供に関する仕組みについて合意を目指すという。
ホルムズ海峡は、かつて世界の石油・液化天然ガス(LNG)の約2割が通過していた重要航路だったが、3月以降はほぼ閉鎖状態にある。2月28日の米国とイスラエルによる攻撃で当時の最高指導者アリ・ハメネイ師が死亡したことを受け、イランが海峡の封鎖に動いたためだ。
イランのガリババディ外務次官は、イランとオマーンが今後、「30-60日以内に、新たな恒久航路」を巡ってさらなる協議を行うと述べた。イランの準国営タスニム通信が報じた。次の協議がいつ始まるかは明らかにしていない。
トランプ米大統領は25日、米海軍がホルムズ海峡の機雷を除去したとSNSに投稿した。船舶の通航再開を目指す動きだ。この投稿は、米国がイランとの経済・金融面での連携を抑え、イランへの圧力を強めるための一連の新たな経済制裁を発表した翌日だった。
トランプ氏は「新たに機雷を敷設する船舶やボートは直ちに、計画的に破壊されるとイランに通告した」とした。
トランプ氏は、ホルムズ海峡から機雷が除去されたとの主張を裏付ける証拠を示しておらず、過去にも同様の主張をしている。機雷除去には時間がかかり、作業も複雑なことから、欧州当局者はこれまで懐疑的な見方を示していた。
イランは以前、ホルムズ海峡に面するオマーンとの協議だけに集中していると表明していた。また、この協議は停滞している米国との交渉とは別だとしていた。
ただ25日には、域内の他国にも協議が広がる兆しが出てきた。イランとオマーンの共同声明によると、数カ月に及ぶ協議が続くなか、両国は「ペルシャ湾沿岸諸国と共同協議を開くことの重要性を強調した」。バドル氏も、域内の関係国との協議は「平和と協力、安定、航行の自由を支えるために実施する」とSNSに投稿した。
ホルムズ海峡の通航を円滑にする合意がまとまれば、イランと米国の協議再開を後押しする可能性がある。両国は6月、紛争の恒久的な終結に向けて交渉するため、60日間の暫定和平合意に署名したが、期限は8月半ばに切れた。
イランは、協議再開には米政府による合意条件の順守が前提だとしている。米国が船舶に代替航路の利用を促し、ホルムズ海峡におけるイランの権限を損なうことで合意に違反したと非難している。一方、米国は、ホルムズ海峡でのイランによる商船・貨物船への攻撃が合意に違反したと主張し、イランが軍内部の一部勢力を統制できていないと非難した。
アラブ湾岸諸国研究所の研究員、アンナ・ジェイコブズ氏は「正しい方向への小さな一歩であることは間違いないが、どこまで真剣な取り組みかを見極める上で、米国の反応と連携が重要になる」と述べた。
ジェイコブズ氏はまた、オマーンは今後も米国とイランの双方が受け入れ可能な「妥協点を探る」取り組みを続けるとしたうえで、「先行きが読めないのはトランプ氏で、米政権がこの枠組みを支持するかどうかが焦点だ」と述べた。
バドル氏が訪問する前日には、パキスタンのムニール陸軍元帥がイランを訪れていた。オマーンとパキスタンはともに、米国とイランの協議で主要な仲介役を務めてきた。
イラン大統領府の報道官はムニール氏の訪問について、「非常に有意義で、外交面で極めて重要な成果があった」と述べた。一方、タスニム通信は、ムニール氏が「交渉への道をつくり、イランの条件と立場を米国側に伝えようとした」と報じた。
原題:Iran, Oman Push Talks for ‘Interim’ Reopening of Hormuz (1)(抜粋)
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