日本市場で高頻度取引(HFT)を行うダルマ・キャピタルが今月初めに従業員を東京からシンガポールへ移したことが分かった。業者の中で唯一日本を拠点としていた同社の移転により、今後日本を対象としたHFTは全て海外経由で行われることになる。

非公開情報のため、事情に詳しい複数の関係者が匿名を条件に明らかにした。関係者の1人によると、シンガポールや香港などアジアの金融ハブと比べ、日本の税率が高いことが移転を決断した一因だという。

ダルマ・キャピタルで最高経営責任者(CEO)を務める塩谷明達氏はブルームバーグの取材に対し、「移転の主たる理由は人的交流を含むグローバル市場へのアクセス向上のため」と電子メールで回答。日本市場については引き続き「最も重要な市場であり、流動性供給と市場の効率化に引き続き貢献していきたい」と述べている。

東証正面玄関と歩行者

HFTはコンピューターに組み込んだプログラムに沿って超高速、高頻度で自動売買を繰り返す取引。7月23日時点で金融庁に登録されているHFT業者の一覧を見ると、53社のうち東京に拠点を置いていたのはダルマだけだった。シタデル・セキュリティーズやバーチュ・ファイナンシャル、ジェーン・ストリートなど同業他社の多くはシンガポールや香港から取引を行う。

日本株市場でのHFTの存在感は大きく、金融庁の調査では少なくとも2024年以降、東京証券取引所の売買代金に占めるHFTの割合は30%以上を占めている。

シンガポールは現在、一定の要件を満たすファンドで運用者が高い収益を上げた場合、利益の一部を非課税とするなど税制優遇策を検討中。香港は成功報酬の一種であるキャリードインタレストに対する免税措置の拡充に動いており、金融ハブ機能の強化に向けた競争は激しさを増す一方だ。

日本も政府と与党自民党が成長戦略の目標の一つとして資産運用立国を掲げ、東京の国際金融都市化を目指している。しかし、アジアの競合と比べ所得税率の相対的な高さなど金融人材の誘致には税制面で課題が多く、言語の壁と共に実現へのハードルは高い。

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