(ブルームバーグ):米国とカナダの通商交渉が決裂した背景には、カナダ側が認識していた合意内容と、文書に記された文言との食い違いを巡るさまざまな問題があった。カナダのマーク・ワイズマン駐米大使が明らかにした。
ワイズマン氏は23日のインタビューで、米国による新たな関税発動や貿易摩擦激化の引き金となった協議の決裂は、一つの事柄がきっかけではなかったと述べた。
ワイズマン氏は協議について、住宅購入の合意に例え、買い手が後になって、家電製品は含まれず、暖房設備には保証がなく、車庫も庭も付いていないと知り、最終的に購入を取りやめるようなものだと説明した。
同氏は「詳細を詰めていく中で分かったのは、合意されたとわれわれが理解していた内容と、文書に記された内容がかなり異なっていたということだ」と発言。「そうしたことが1度や2度であれば、ある程度理解できるが、繰り返し起こり、あらゆる解釈が最も否定的な解釈になる場合」、手を引く「段階に達した」と語った。
決裂を受け、米国は約200億ドル(約3兆1800億円)相当のカナダ製品に50%の関税を適用。カーニー首相は9月8日からの報復措置を発表した。米国はカナダが報復措置を実施すれば、対抗措置を強化するとしている。
アジア時間24日の外国為替市場でカナダ・ドルは売られ、対米ドルで一時0.5%下落した。前週は米ドル安や両国が合意に近づいているとの見方を背景に0.8%上昇していた。
ATグローバル・マーケッツのチーフ市場アナリスト、ニック・トゥイデール氏は「週末のニュースは間違いなくカナダ・ドルにとってマイナスだ。特に北米市場で取引が始まり、双方がさらなる発言をすれば、相場は大きく変動するだろう」と指摘。「ただ、ここ数年で同じような展開を見てきたため、値動きが極端になることはないだろう。今週中に何らかの合意か、通商協議の再開が発表されると予想している」と話した。
交渉が行われるかどうかは定かではないが、ワイズマン大使は、9月8日までの期間は協議延長のためのものではないと説明した。
協議は特に、米国が引き下げに抵抗していた中・大型車に対する関税の扱いを巡る対立で難航していた。ワイズマン氏は、カナダとしては関税軽減措置に「中・大型車を含める必要があった」と説明。カナダで事業を展開する米自動車大手のゼネラル・モーターズ、フォード・モーターにも影響する問題だと述べた。
ワイズマン氏は「われわれには到底受け入れられないものだ。カナダで乗用車、小型トラック、中型トラック、大型トラックを生産する自動車組み立て産業の存続を守りたいからだ」と話した。
一方で、「これが合意決裂の理由ではない」とも指摘。「詳細の解釈が明らかになるにつれ、双方の認識が一致しないことが明白になった、数多くの問題のうちの非常に具体的な一例に過ぎない」と語った。
米通商代表部(USTR)のグリア代表は、合意案にはカナダ製の鉄鋼、アルミニウム、自動車、木材に対する関税引き下げが含まれていたと説明し、カナダ側が離脱したと非難した。一方、カーニー首相は、米国の要求が過大になったため交渉を打ち切ったと述べた。
グリア氏は22日、米紙ニューヨーク・タイムズに対し、合意案ではカナダの鉄鋼輸出の「大半」について、割当量までは関税を25%に引き下げ、超過分は50%を維持する内容だったと説明した。アルミ関税は割当量を設けず25%に引き下げるほか、乗用車への関税も引き下げ、すでに発動された関税は停止し、木材関税を撤廃する内容だったという。この内容を巡り、ワイズマン氏は詳細については確認を避けたものの、「おおむね正確だ」と述べた。
ワイズマン氏は「われわれは失望している。懸命に取り組んだが、最終的には、米国が設定した期限に提示された条件は、われわれには受け入れられなかった」と語った。
原題:US-Canada Trade Talks Fell Apart Over Fine Print, Envoy Says (1)(抜粋)
--取材協力:Matthew Burgess.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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