米大リーグ(MLB)と選手会の間で労使交渉が難航し、2027年シーズンが中断される可能性が懸念される中、空売り投資家はナショナルリーグ東部地区首位のアトランタ・ブレーブスの株に対する弱気な賭けを急速に増やしている。

S3パートナーズのデータによると、ブレーブスのクラスC株の空売り比率は過去12カ月で3倍に増え、取引可能な株式の6.8%に達した。これはアトランタ・ブレーブス・ホールディングスが2023年にリバティー・メディアから分離されて以来の高水準で、同球団株に対する弱気ポジションは約1億7000万ドル規模に膨らんでいる。

こうした空売りが増える一方、ブレーブス株は先週、過去最高値を付け、年初来では34%上昇している。プロスポーツの世界では球団の評価額が全般的に上昇している。

現行の労使協定は12月1日に期限を迎える。選手会は5月下旬、2億4500万ドル(約389億円)のサラリーキャップを導入する提案を拒否した。それ以降、空売り比率はおおむね2倍に増えた。サラリーキャップを巡る対立は過去にもあり、1994年には選手によるストライキを引き起こし、ワールドシリーズの中止につながった。

S3パートナーズのリサーチディレクター、サム・ピアソン氏は「ロックアウトになるとの予想が一般的だ。空売り投資家は12月を見据え、ロックアウトが起き、次の試合がいつ行われるのか分からなくなる状況を想定していると考えられる」と述べた。

この夏はスポーツチームの評価額が大きな注目を集めている。米プロバスケットボールNBAのロサンゼルス・レイカーズは、過去最高となる125億ドルで買収され、プライベートキャピタル大手アポロ・グローバル・マネジメントは、MLBのニューヨーク・ヤンキースの権益を取得した。米プロフットボールNFLのアトランタ・ファルコンズはKKR傘下企業に10%の権益を売却する方向で協議していると、ブルームバーグが20日に報じた。

インナー・サークル・スポーツ創業者のロブ・ティリス氏は、世界のスポーツ産業の価値を4500億ドルと見積もっている。不動産やメディア放映権の価値増加が注目されるだけでなく、超富裕層が増える中で希少な資産の魅力が高まっていると説明した。インナー・サークルは、MLBのサンディエゴ・パドレスの売却(価格39億ドル)に関与した。

モルガン・スタンレーのアナリストによると、上場しているスポーツチームの数が少ないため、ブレーブス(銘柄コード:BATRK)のような銘柄は、四半期決算よりも業界全体に対する幅広い期待に左右される傾向がある。野球に差し迫る最大の脅威は、来年の春季キャンプまでに労使交渉が妥結しないことだ。

サラリーキャップを求める声は、ロサンゼルス・ドジャースが外野手カイル・タッカーと2億4000万ドルの契約を結んだことでも一層強まった。ドジャースはつい数年前、大谷翔平選手とさらに大型の契約を結んでいる。球団オーナーにとって、サラリーキャップで選手の年俸を抑えることができれば、球団の評価額を押し上げられるとの期待がある。ドジャースのオーナー、マーク・ウォルター氏の事業は現在、司法省の捜査を受けている。

ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、ケビン・ニア氏は、「サラリーキャップを導入できれば、ブレーブスを含む球団の評価額にとって非常に大きな意味を持つことになる」と述べた。交渉がサラリーキャップなしで決着した場合でも、球団の評価額が上がる可能性はなおあるが、その上昇幅は小さいかもしれないと指摘した。

来季にロックアウトとなる可能性があるにもかかわらず、投資家はブレーブス株を買い続け、同球団が保有する様々な不動産への投資機会を得ている。S3パートナーズのデータによると、過去12カ月でアクティブ運用会社のBATRK保有は10%増加し、ヘッジファンドのロングポジションは17%増えた。

ピアソン氏は「双方とも正しい可能性はあるが、同時に正しいわけではない。新たな労使協定が成立し、テレビ放映契約が改定されれば、現在の過去最高値も割安に見えるだろう」と述べた。「しかし、そこに至る過程でロックアウトとなる可能性が高く、それが空売り側にはチャンスと受け止められている」と説明した。

原題:MLB Lockout Fears Spur Rush of Shorts Into Atlanta Braves Shares(抜粋)

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