トランプ米大統領は新たな制裁と海上封鎖、イランの貿易相手国に対する経済圧力の強化によって、数千発の爆弾やミサイルを落としても成し遂げられなかったこと、すなわち米国が示す条件で戦争を終結させる合意を、イランから引き出せると見込んでいる。

しかし、ホルムズ海峡の支配を主張するイラン革命防衛隊(IRGC)は、経済圧力に屈するとは限らず、報復手段も多い。

ベッセント米財務長官は24日、軍事攻撃の応酬から、イランを本格的に経済的に孤立させる方向に移行する計画を発表する。その影響は中国やインド、トルコ、アラブ首長国連邦(UAE)などにも及ぶ可能性がある。

ただ、圧力強化はイランによる湾岸地域のエネルギー施設などへの攻撃を誘発し、原油価格や米国側のコストを押し上げ、トランプ大統領に再び戦略転換を迫る恐れがある。

「これが実際に効果を上げれば、いずれイランは再び攻撃に出る」と、アトランティック・カウンシルのネイト・スワンソン氏は予想する。米国務省やホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)でイラン問題を担当した経歴を持つ同氏は「トランプ氏は戦争が新たな段階に入ったとみるかもしれないが、イランはそう考えていないと思う」と指摘した。

2月28日に米国とイスラエルが攻撃を開始して以降、イランは空爆や制裁、米海軍の封鎖を受けながらも反撃能力を維持してきた。ドローンや弾道ミサイルで湾岸の米軍基地や民間インフラを攻撃し、ホルムズ海峡をほぼ閉鎖状態にしてエネルギー価格を押し上げた。米国との交渉が再開された場合、同海峡の掌握はイランにとって強力なカードとなる。

ベッセント長官は経済戦への移行により「大規模な軍事作戦が再開される可能性は低くなった」としたが、アナリストの見方は異なる。

ブルームバーグ・エコノミクスのクリス・ケネディ氏は「この新たな経済圧力策が機能するというのは大きな仮定だが、その場合は少なくとも最初の段階では、イランが降伏するよりも、イランが軍事行動に出る可能性の方が高い」と述べた。「米国が全面的な軍事作戦を一時停止すると決めたからといって、イランも追随するとは限らない」と語った。

米国が圧力を大幅に強化するには、イラン産原油の主要購入国である中国を標的にする必要があり、その場合は大きな反発を招く恐れがある。

それでも経済的圧力は効果を上げている。イランのインフレ率は80%を超え、通貨は今年だけでも30%近く下落。イラン中央銀行総裁は今週、米国の封鎖で原油輸出が「事実上停止した」と述べた。国際通貨基金(IMF)は4月、今年のイラン経済が6.1%縮小すると予想した。

イランのペゼシュキアン大統領は21日、戦争終結を訴えたが、強硬派や軍指導部の一部はイランが優勢だとして、戦闘継続を主張している。

第1次トランプ政権で中東担当外交官を務めたデービッド・シェンカー氏は、新たな圧力と封鎖でイランを6月の暫定合意で定めた状態に引き戻す可能性はあると指摘した。

ただ、いかなる措置も大きな効果が現れるまでに6カ月かかる可能性があり、トランプ政権の忍耐が試されると同氏は述べた。イラン政権は国民の苦境をほぼ顧みることなく、深刻な経済的打撃に耐えられることを示してきたと、同氏は指摘した。

現在はワシントン近東政策研究所のフェローを務めるシェンカー氏は「ずるずると長引く可能性がある」と述べ、「イラン政権は依然として自らに交渉力があり、有利な立場にいると考えている」と語った。

原題:Trump’s Economic Isolation Plan Risks Iran Strikes Across Gulf(抜粋)

--取材協力:Magdalena Del Valle、Golnar Motevalli.

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