(ブルームバーグ):歴史的な株安を受け、韓国の個人投資家が複雑な仕組み商品に資金を振り向けている。リスクを好む個人投資家は、なおリターンを高める手段を探し続けている。
年率40-50%のクーポンを掲げる株価連動証券(ELS)が、個人投資家の関心を再び集めている。7月の販売額は3年超ぶりの高水準に増え、サムスン電子とSKハイニックスに連動する商品がけん引した。
こうした動きの背景には、個別株のレバレッジ型上場投資信託(ETF)に個人投資家の資金が殺到し、当局が過熱抑制に乗り出したことがある。レバレッジ型ETFは、先月に韓国総合株価指数(KOSPI)が22%急落した際、市場の値動きを増幅させたとされる。それでも個人投資家のリスク志向は衰えておらず、投資先を別の商品に移したにすぎないとみられている。
最近の相場下落で、ELSへの投資には魅力的な買い場が生まれたようだ。ELSは原資産の株式や指数があらかじめ設定された範囲内にとどまる限りクーポンを受け取れる仕組みだが、市場が急落した場合には大きな損失を被るリスクがある。かつて韓国の投資家に人気だった中国関連商品で多額の損失が発生したことが、その危険性を物語っている。
アーケビウム・キャピタルの最高投資責任者(CIO)、マクセンス・ヴィソー氏は「ELSの発行は通常、相場調整やボラティリティ急上昇の後、投資水準が魅力的になり、クーポンが上昇すると増える」と指摘。「買い手は、サムスンとSKハイニックスの株価が横ばいで推移するか、緩やかに下落する程度なら受け入れられるようだ。大幅な急落は避けられると考えているためだ。危険なのは、優良企業であることと、安全な投資水準であることを混同することだ」と述べた。

韓国金融投資協会のデータによると、7月のELS販売額は約3兆5000億ウォン(約4000億円)と、2023年4月以来の高水準となった。
メリッツ証券は今月、サムスンとSKハイニックスに連動し、年率43.4%のクーポンを提示するELSを発行した。ただ、リスクは株式投資並みに大きい。商品条件によると、期間中にいずれかの株価が当初価格から70%下落し、満期時にも当初価格を大幅に下回っていれば、元本割れとなる可能性がある。
キウム証券はSKハイニックスとLG電子に連動し、年率最大50%のクーポンを提供するELSを発行した。一方、所定の償還条件を満たさない場合、投資家に30-100%の損失が生じる可能性があると開示している。
サムスンとSKハイニックスの株価は8月に上昇しているものの、6月に付けた過去最高値を少なくとも22%下回っている。
市場を代表するこの2銘柄は、データセンターに必要な広帯域メモリー(HBM)への需要急増で財務基盤が強化される中、過去最大規模の株主還元を準備している。こうした状況も、両社株に連動するELSへの投資を後押しする可能性が高い。

こうした仕組み商品は、過去にもたびたび韓国の投資家に損失をもたらしてきた。2016年の英国の欧州連合(EU)離脱という予想外の結果、20年の原油相場低迷、21-24年の中国株下落などが市場に打撃を与えた。24年には韓国の金融監督当局の調査で、国内大手証券会社の一部が、リスクの高い中国関連の仕組み商品について個人投資家に誤解を招く説明をしていたことが判明した。
HSBCプライベートバンク・アンド・プレミア・ウェルスの北アジア担当CIO、パトリック・ホー氏は「重要なのは、どの商品についても、それに伴うリスクを開示する必要があるということだ。値上がりの恩恵を受けられる一方、値下がりに対して一定の保護も得られる仕組みが望ましい」と述べた。
韓国の金融監督院(FSS)は来月から仕組み商品への監督を強化する。ELSがノックイン水準に近づいた場合、証券会社に投資家への警告を義務付けるほか、市場環境によって投資家のリスクが大幅に高まった場合には商品内容の見直しを求める。
ジャナス・ヘンダーソン・グループの分散型オルタナティブ部門責任者、デービッド・エルムズ氏は、インプライド・ボラティリティ(IV)の低下に伴い、発行会社が魅力的なクーポンを提示する原資となるオプション・プレミアムが縮小するため、ELSの発行は減速すると予想。KOSPI200ボラティリティ指数は6月下旬の水準からほぼ半減したものの、なお過去5年平均の2倍を超える水準にある。
原題:Korean Traders Chase 40% Coupons as Risk Appetite Survives Rout(抜粋)
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