サプライズ効果は限定的
もっとも、市場関係者の間では今回の『サプライズ』の効果は限定的だと見る向きが多いようです。買い戻し額は米国債の流通額に比べて極めて小さい上に、超長期国債を買い戻すために、短期国債(Tビル)を発行するのですから、借金が減るわけでもありません。そもそも、40兆ドルを超えるアメリカの政府債務総額は、イラン戦費や今後のインフレ対策もあって、ますます膨らんでいきそうだからです。
現に翌20日には、アメリカの長期金利は再び上昇に転じており、早くも『サプライズ』の効果は剥げ落ちつつあると、評する声も出ています。
世界的な長期金利上昇にどう向き合うか
しかし、アメリカを含めた世界経済の、今の最大の課題が、長期金利の上昇であることは間違いなく、ベッセント財務長官が、今後も『サプライズ』を含めた様々な手を打ってくることは、想像に難くありません。
アメリカ経済の再生と成長を、第一のミッションとする、トランプ政権の閣僚として、金利の高騰を黙認することなど、あり得ないことだからです。今後、繰り出してくる、第3、第4のサプライズには、対外的な「圧力」が含まれる可能性もあるかもしれません。
世界的な長期金利上昇の背景には、まず、コロナ禍以来、大きく膨らんだ各国の財政赤字があります。そこにウクライナ危機以来のインフレに、イラン戦争による原油高が加わっていて、各国の中央銀行のインフレ制御力にも、疑念の目が向けられています。最近のAI投資ブームによる強すぎる資金需要が、債券市場に大きな影響を与えていることもあります。
長期金利上昇には、「財政拡張」「地政学」「AI」といった、現在の世界経済のキーワードが埋め込まれており、『ベッセント劇場』の舞台はいくつあってもおかしくありません。