日清食品ホールディングスがこの夏に数量限定で発売した、冷水で作れるカップヌードルが話題を呼んでいる。これまでの常識を覆す新商品として注目され、販売数量こそ公表されていないものの、1-2カ月は持つと見込んでいた当初の供給分が、わずか1週間で完売した。

同社が7月に発売したのは「冷しカップヌードル ピリ辛キムチ味」と「冷しカップヌードル 鶏塩レモン味」の2種類。冷水を注いで5分間待つだけで食べられる。開発には5年を要した。

1958年に日清創業者の安藤百福氏がインスタントラーメンを発明して以来、その調理には基本的に熱湯が欠かせなかった。暑い時期に冷たい食品への需要が高まる中、冷水だけで作れる新商品は長年の常識を覆す試みとなる。

新商品はソーシャルメディア(SNS)で大きな話題となった。インフルエンサーによる試食のほか、冷水の代わりに豆乳やお茶を使って調理するさまざまな楽しみ方が投稿されている。

盛り上がりは香港にも飛び火した。現地最大の無料英字日刊紙「ザ・スタンダード」によると、ある食品店が1日限定で販売したところ、同商品を求める人が列を作った。

新たな用途としても注目される。日清食HDの広報担当者によると、熱湯を用意する必要がないため、非常食として利用できるとの声も寄せられた。増産や通年販売の有無、新たな味の投入については未定で、今回の販売状況などを踏まえ、今後検討していくという。

株式市場では、同社のこうした取り組みを前向きに評価する見方がある。マッコーリー・エクイティ・リサーチのアナリスト、リンダ・ホアン氏らはリポートで、「多様化が進む食文化に合わせた革新的な商品やフレーバーの投入を加速するとともに、複数の販売チャネルにバランスよく展開することに注力している」と指摘した。

岩井コスモ証券投資調査部シニアアナリストの有沢正一氏も、ユニークな商品を打ち出す同社の姿勢がブランドに好影響を与えていると評価した。「価格を訴求するのではなく、価値を訴求する」戦略が定着しており、世間を驚かせる商品を投入することが同社らしさにつながっていると指摘。

冷水だけで作れる新商品が一過性のヒットにとどまらず、新たな定番となるかが注目される。

--取材協力:我妻綾.

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