米ディズニー&ピクサー映画「カーズ」シリーズからそのまま飛び出してきたようなイタリア製の超小型電気自動車(EV)が、10億ドル(約1580億円)規模に成長した米国のゴルフカート市場に切り込んでいる。

全長2.5メートルのフィアット「トポリーノ」が今夏、米国に登場すると、全米で約230万人に上るゴルフカート利用者の一部から大きな注目を集めた。

フィアット愛好家のミゲル・バルトリさん(59)は数年前、ローマでトポリーノの兄弟車であるシトロエン「アミ」を目にしていた。トポリーノが船で米国に上陸する様子を収めた動画をフィアットが公開したその日、フロリダ州の販売店に電話をかけ、いち早く購入に動いた。「クアドリサイクル」とも呼ばれるこの2車種の超小型EVは、いずれも欧州自動車大手ステランティスのブランドだ。

バルトリさんが暮らすフロリダ州東部のコミュニティーでは、同氏のようにゴルフをしない人も含め、住民の大半がカートで移動する。

ロープ製のドアとソフトトップルーフを備えた1万5000ドルのトポリーノ・ドルチェヴィータは、バルトリさんが乗り始めてからまだ日が浅いにもかかわらず、大きな関心を集めている。「すでに複数の人から手を振って呼び止められたことがある」そうだ。

イタリア語で「小ネズミ」や「ミッキーマウス」を意味するトポリーノのデザインは1950年代後半のフィアット「ヌォーヴァ500」をほうふつとさせる。同車も全長3メートル弱で、都市型自動車の先駆けだった。

アルファロメオ・フィアットの販売店でのトポリーノの売れ行きは好調だ。フロリダ州のデイトナ店では最初に入荷したトポリーノ6台が即完売した。ミネソタ州のシュメルツ・カントリーサイド店では店頭に並ぶ前に5台を販売。ミシガン州のゴリング販売店でも14台のうち10台を販売し、すでに9台を追加発注した。

販売店やオーナーによると、反応は圧倒的に好意的だが、オンライン上では意見が分かれている。大半の自動車に装備されているエアコンや安全機能を欠く車に魅力があるのか疑問視する声もある。

トポリーノは米国では低速車に分類されており、通常の衝突試験の対象ではない。シートベルトは装備しているものの、エアバッグや衝撃吸収構造などは備えていない。重量や車体の大きさも懸念材料だ。

米国では、公道でトポリーノを運転するには運転免許が必要となるため、正式な運転免許を持たない若者や都市部住民といった大きな潜在顧客層を取り込めない。

原題:Fiat ‘Little Mouse’ Micro Car Nibbles at US Golf-Cart Market (1)(抜粋)

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