(ブルームバーグ):世界最大の経済大国である米国のインフレが鈍化していることを踏まえると、市場が織り込む米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ観測はなお強すぎると、ゴールドマン・サックス・グループはみている。
同行のチーフエコノミスト、ヤン・ハチウス氏は16日に公表された顧客向けリポートで、小売売上高の軟化や雇用統計の低調、インフレ指標の鈍化を受け、米連邦公開市場委員会(FOMC)の9月会合での利上げは「可能性が極めて低い」と指摘。「われわれの基本シナリオに基づく経済予測では、年末に向けてインフレを巡る状況は再び悪化するよりも、さらに改善する可能性の方が高い」とした上で、「フェデラルファンド(FF)金利に対する市場の織り込みは、なおタカ派的すぎると考えている」と記した。
ブルームバーグがまとめたデータによると、市場が織り込む、FRBによる次回の0.25ポイント利上げの予想時期は1月に後ずれした。1週間前には12月の利上げを完全に織り込んでいた。市場の織り込みはタカ派色を弱めているものの、ゴールドマンによると、利上げ観測がさらに後退する余地はなおあるという。
米国の金融政策の動きは世界各国の金利に影響を及ぼす傾向があるため、FRBの政策を巡る市場の見方は世界の国債市場にとって極めて重要だ。米債投資家は現在、相反する二つの力に挟まれている。インフレ鈍化で債券保有の投資妙味が再び高まる一方、政府の巨額な借り入れと根強い財政懸念を背景に、投資家は長期債に一段高い利回りを求めている。
ブルームバーグのストラテジストの見方
「短期ゾーンの利回りは年内の利上げ観測後退が支えになる一方、長期ゾーンは引き続き脆弱(ぜいじゃく)だ」
──マーケッツ・ライブのストラテジスト、エドワード・ハリソン氏
こうした相反する力により、物価上昇圧力が和らいでも長期債利回りが高止まりし、通常ならインフレ鈍化によってもたらされる債券相場の上昇が弱まる恐れがある。米金融政策の変化に特に敏感な米2年債利回りは4%を上回ったままだ。投資家はFRBが再び借り入れコストを引き上げるのか、引き上げるとすればいつになるのかを見極めようとしている。
ゴールドマンのリポートによると、インフレの改善や追加利上げの織り込み縮小、予算を巡る悪材料を背景に、米国債のイールドカーブ(利回り曲線)はさらにスティープ化する可能性が高い。
ハチウス氏は「雇用とインフレのデータが2カ月にわたり大幅に軟化した後では、ハト派の当局者が利上げ支持に転じるとは考えにくい」と記した。
原題:Goldman Says Markets Too Hawkish on Betting Fed Will Hike Rates(抜粋)
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