米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げの有無や時期を巡り投資家が頭を悩ます中、世界各地では金融引き締めが一段と進むとの見方が強まっており、債券市場への逆風となっている。

市場は日本やカナダ、英国、ユーロ圏では今後1年間、米国より速いペースで金利が上昇するとみている。ブルームバーグが継続調査する32の金利スワップ市場のうち、3分の2が利上げを織り込んでおり、韓国では100ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)超と最大の利上げ幅が見込まれている。

これはFRBが主導してきた、ここ数年の金利サイクルからの転換を示す。今回はイラン戦争に伴う原油高に加え、巨額の政府歳出、成長を大きく押し上げるAI投資ブームなど複数の圧力に、各国・地域の中央銀行が同時に直面している。経済協力開発機構(OECD)加盟国のインフレ率は最近、2年ぶりの高水準に達した。

こうした状況は投資家に厄介な展開をもたらす。債券は本来、AI主導の株高の反転や、新たな貿易戦争による経済成長圧迫など、市場環境が悪化した際にポートフォリオの損失を和らげる役割を担う。

だが、米国外の中銀が一段と積極的な金融引き締めを迫られれば、債券は値下がりしてポートフォリオの損失をさらに膨らませる要因になりかねず、伝統的な分散投資の根幹の一つが揺らぐことになる。

フィデリティ・インターナショナルのポートフォリオマネジャー、ジョージ・エフスタソプロス氏は「分散投資という観点では、債券はその役割を果たさない」と指摘。

「地政学的な動向が増え、エネルギーへの依存度が高まり、インフレが根強い上に、大規模な財政刺激策が講じられる世界では、インフレ率は一段と低下しにくくなるだろう」と述べた。

エフスタソプロス氏の国債へのエクスポージャーはごくわずかで、米物価連動国債(TIPS)とブラジル国債を一部保有するにとどまる。

ブルームバーグがまとめたデータによると、短期金融市場は今後1年間に主要7市場で合わせて約400bpの利上げを織り込んでいる。この見方が正しければ、影響は債券市場にとどまらない可能性がある。金利上昇は将来の利益の現在価値を押し下げるため、割高な株式への重しとなるほか、金融環境を引き締め、為替取引にも混乱をもたらしかねない。

コロンビア・スレッドニードルのポートフォリオマネジャー、エド・アルフセイニー氏によると、金利上昇は現金を保有するだけで得られるリターンも高め、投資家にとっては資金の振り向け先が増える。その結果、政府や企業は投資資金を呼び込むため、より高い利回りを提示する必要があるという。

世界的な金融引き締めの次の局面では、韓国と日本が主導するとみられている。エネルギー価格の上昇に、AI主導の投資ブームが重なり、半導体や電力、労働力への需要が押し上げられているためだ。

両国の債券にかかる圧力は既に表面化している。韓国国債は今年に入り、現地通貨建てトータルリターンが約9%低下。ブルームバーグが継続調査する44の債券市場で最も悪いパフォーマンスとなっている。日本国債も下落率が大きい市場の一つで、トータルリターンが4%ほど低下している。

欧州ではエネルギーコストの上昇や国防支出の拡大が、先行きへの重しとなっている。ドイツとイタリア、フランスでは、指標となる国債利回りがいずれも今年に入って約30bp上昇した。

もっとも、欧州債の先行きを楽観視する投資家もいる。欧州中央銀行(ECB)は世界的なエネルギーショック後、いち早く利上げに動いた中銀の一つで、インフレ抑制に積極的な姿勢を示した。運用担当者の間では、欧州の財政・金融見通しは米国や日本に比べて予測しやすいとの見方もある。

JPモルガン・アセット・マネジメントの債券部門で国際最高投資責任者(CIO)を務めるイアン・スティーリー氏は、米国債より欧州債を選好している。中でも英国債については、イングランド銀行(英中銀)による金融引き締めが市場で過度に織り込まれているとみている。

同氏は13日のブルームバーグテレビジョンのインタビューで、「欧州のイールドカーブの短期ゾーン、特に英国については、買いにかなり自信を持っている」とし、「イングランド銀が利上げを急いでいるとは思わない」と語った。

米国ではインフレ懸念が後退したことを受け、債券市場がFRBによる年内利上げを完全には織り込まなくなっている。それでも米10年国債利回りは年初から約50bp上昇している。財政赤字拡大への懸念を背景に、13日に実施された米30年債入札は、落札利回りが約25年ぶりの高水準となった。

ブルームバーグのマクロストラテジスト、ブレンダン・フェーガン氏は「直近のインフレ指標が落ち着いたからといって、財政赤字やタームプレミアムが消えたわけではない。米国債イールドカーブの長期ゾーンには構造的な上昇圧力がなおかかっており、カーブは一段とスティープ化しやすい状況にある」と分析した。

シンガポールのUOBケイヒアンでプライベート・ウェルス・マネジメント部門ディレクターを務めるケネス・ゴー氏は、ポートフォリオにおける債券の位置付けは10年前に比べて「はるかに小さくなった」と指摘。

主要市場が同時に金融引き締めに向かうとみられる中、債券を複数市場に分散保有しても、各国・地域の金融政策サイクルが異なっていた時期ほどのリスク軽減効果は期待できないという。

同氏は「債券がポートフォリオの損失を和らげてくれると、多くの投資家が今なお考えているが、もはや以前のようには機能しない」と述べた。

原題:Bonds Face a Bigger Threat Than the Fed as Global Rates Climb(抜粋)

--取材協力:Alice Gledhill.

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