(ブルームバーグ):中国のユニツリー・ロボティクス(宇樹科技)は新規株式公開(IPO)で約61億元(約1430億円)の調達を目指す。実現すれば、中国本土で初めて上場するヒト型ロボットメーカーとなる。
上海証券取引所への提出書類によると、杭州に本拠を置く同社は、ハイテク企業向け市場「科創板(STARマーケット)」でのIPO価格を1株150.80元に設定した。
IPOで発行する4040万株は、増資後の発行済み株式の10%に相当する。これに基づく企業価値は約610億元となる。10日にIPOの申し込み受け付けを開始する。
ユニツリーの上場計画は、物理的な身体を持つ「具身AI」が世界のAI競争で今後の重要な主戦場として浮上する中で進んでいる。ヒト型ロボットは中国政府の戦略的優先分野の一つで、ユニツリーは国内で最も存在感のある企業の1社となっている。
新株の約20%は戦略投資家向けに割り当てられた。投資家にはテンセント・ホールディングス(騰訊)系の投資会社やDeepSeek(ディープシーク)のほか、中国石油天然ガス集団(CNPC)や中国南方電網、中国電信(チャイナテレコム)など大手国有企業の投資部門が含まれる。
DeepSeekはユニツリーに1億4000万元を投じ、2.31%の株式を取得した。取得株を売却できないロックアップ期間は3年間となることがユニツリーの提出書類で分かった。この提携により、ユニツリーはDeepSeekのAI技術力を活用し、ヒト型ロボット向け具身知能モデルを開発できる。
DeepSeekは契約に基づき、ユニツリーからロボットを調達する可能性があるほか、モデルアーキテクチャーやコンピューティングクラスター、さらにはデータセンターの運用でも支援し得る。
ユニツリーはテンセントからも新たな出資を受けた。テンセントは投資会社を通じて1億3600万元を投じ、2.23%の株式を取得。テンセントはユニツリーとロボット向け知能モデルの開発でも協力し、さまざまな環境へのヒト型ロボットの導入を加速させる。
ビジネスモデル
ユニツリーのロボットは中国の春節(旧正月)特別番組に登場し、注目された。同社は昨年、ヒト型ロボットを5500台超出荷し、世界首位となった。先月公表したIPO目論見書によれば、四足歩行ロボットの累計販売台数は3万3000台を超えた。同社にはアリババグループ関連会社も出資している。
ユニツリーの目論見書によると、2025年の売上高は17億元と、前年の3億9300万元から急増。昨年の純利益は2億7800万元で、粗利益率は60%を超えた。同社の創業者、王興興氏は引き続き経営の主導権を握る。IPO後も王氏と同氏の支配下にある事業体が、同社株式の約31.29%を保有する見通しだ。
ユニツリーのビジネスモデルは、複数のサプライヤーから調達した部品を組み立てるのではなく、自社で一体設計することで、コストと性能の両面で大きな優位性を実現することを柱としている。
電気自動車(EV)メーカーの比亜迪(BYD)と同様、製品群全体に垂直統合戦略を採用。これにより、コストを抑えながら販売数量を伸ばしている。ただ、ハードウエアでの成功を、より高度なロボットの知能やソフトウエアアプリケーションと組み合わせる必要がある。
米銀モルガン・スタンレーによれば、地政学的な不透明感が高まる中でも、中国のロボット企業は世界的な需要を取り込む上で引き続き有利な立場にある。
同行は3日のリポートで、外国製の一部先端ロボット機器に対し米国が最近決めた規制は、中国企業への短期的な影響が限定的となる公算が大きい一方、業界の長期的な先行きをより不透明にする恐れがあると指摘した。
ユニツリーは激しい競争に直面する可能性が高い。同社はヒト型ロボットの「脳」の開発で競合他社に対する優位性を失うリスクがあると認めている。
ベンチャーキャピタルから自動車メーカーまで幅広い投資家が今年、少なくとも1000億元をこの分野に投じており、その大半はヒト型ロボット向けAIモデルを開発するスタートアップに向けられている。業界の重点がボディーから知能へ移行していることを浮き彫りにしている。
原題:China’s Unitree Seeks $904 Million in First Mainland Robotic IPO(抜粋)
--取材協力:Sunny Bangia.
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