(ブルームバーグ):中国の半導体メモリー大手、長鑫存儲技術(CXMT)を傘下に置く長鑫科技集団(CXMT Corp.)に対するアナリストの見方は、アジア株の中でも際立って二極化している。半導体メモリー株の値動きを左右する主要な論点が鮮明になっていることが背景だ。
CXMTが上場してからわずか1週間で、アナリストの目標株価の開きがアジアで最大級となった。最も強気のアナリストの見方では、CXMTの企業価値が今後12カ月で1兆1000億ドル(約172兆円)に達する一方、最も弱気の見通しでは約1600億ドルにとどまる。
評価の隔たりは、CXMTの台頭が世界のメモリー業界における競争環境や市況サイクル、価格形成をどのように変えるかという見方の違いにある。その影響は、韓国のサムスン電子とSKハイニックス、米マイクロン・テクノロジーのメモリー大手にとって極めて大きい。これら3社の株価は、AIブームを背景とした急騰の後、歴史的な下落に先月見舞われた。
ボールド・ウェルス・パートナーズのジェイソン・ルミア最高投資責任者(CIO)は、「CXMTがもたらす影響を市場が過小評価している可能性がある」と述べ、「中長期的に懸念しているのは、何十年もかけて築かれてきた供給規律が損なわれることだ」と指摘した。
CXMTに強気なアナリストは、中国のテクノロジー自立政策を追い風に、パソコンやスマートフォン向けの従来型メモリー、DRAMの市場でシェアを奪えるとみている。また、中国初となるAIサーバー向け高帯域幅メモリー(HBM)の生産に乗り出す可能性も指摘されている。
市場シェア拡大を投資判断の柱とするのが、ノムラ・インターナショナル・ホールディングスのドニー・テン氏だ。同氏は市場で最も高い116元(約2690円)の目標株価を設定しており、これは7月31日の終値の2倍超に当たる。
テン氏はCXMTの投資判断を「買い」でスタート。リポートで、昨年の世界DRAM需要の4分の1を中国が消費した一方、そのうち国内生産は3分の1未満にとどまっており、この不足分はCXMTや他の中国メーカーが埋めることができると分析した。
メモリー市場巡る攻防
一方、モーニングスターのアナリスト、ジンジエ・ユー氏は、CXMTの投資判断を「売り」とし、最も低い目標株価(16.1元)を設定した。
唯一の売りとした同氏はCXMTの市場シェア拡大は見込むものの、生産能力の増強によって2027年後半から2028年にかけてDRAM価格が下落し、すべてのメーカーの利益を圧迫すると予想している。
CXMTの株価は上場初週に523%上昇した。投資判断はこの間、買いが3件、「ホールド」が1件だった。IPO価格は大幅に割安だったとの見方がある一方、この急騰は投資家の強気姿勢も反映している。
タイガー・ファンド・マネジメントのジェレミー・タン最高経営責任者(CEO、シンガポール在勤)は、「CXMTは株式公開で調達した資金によって供給能力を本格的に拡大できる」との見方を示し、「多くのテクノロジー分野で見てきたように、中国は極めてハイペースで追い付くことが可能だ」と述べた。
CXMTがDRAM市場で存在感を高めるとの見方は広がっているものの、高品質なHBMを製造できるかどうかが依然として大きな焦点となっている。
中国企業はHBM製造に必要とされる最先端の極端紫外線(EUV)露光装置へのアクセスを輸出規制によって制限されているが、代替手段が存在する可能性もある。中国政府が支援する企業が液浸型深紫外線(DUV)露光装置の量産を開始したと報じられたことを受け、先週は世界の半導体株が動揺した。
アバディーン・インベストメンツのポートフォリオマネジャー、ブッシュ・チュー氏は、「DUVを複数回使用することで、EUV装置が1工程で実現することを代替する方法はある」と説明。同氏は、中国が従来型DRAMで急速な進歩を遂げていることを踏まえ、CXMTはHBMでも韓国勢に肩を並べることが可能だとみている。
原題:CXMT Price Targets Are $1 Trillion Apart as Analysts Differ (1)(抜粋)
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.