(ブルームバーグ):英国の企業は、AI関連スキルを持つ経験者の採用を増やす一方、それ以外では採用を抑えている。AIが労働市場の二極化を生み始めた実態が、新たなデータで浮き彫りになった。
求人検索サイトのインディードがブルームバーグに提供したデータによると、英国企業の7月の求人件数は2025年1月と比べ約10%減少した。ただ、企業がコスト削減や生産性向上を目指してAI導入を加速する中、職種によって大きな差が生じている。

AIによって仕事内容が大きく変わり、22年以降に採用が急減していたソフトウエア開発職への需要は再び高まっている。求人件数は14%増加し、その多くを上級職やAIに直接関連する職種が占めた。
AIが定型業務を代替し、経験豊富な人材の価値が高まるITやエンジニアリングなどの職種も、昨夏以降に求人が底堅く推移した数少ない分野に入る。
一方、小売りや製造業から、会計やマーケティングなどAIに代替されやすいホワイトカラー職まで、求人件数は軒並み2桁減となった。企業は雇用コストの上昇や不安定な経済状況に対応している。
インディードのシニアエコノミスト、ジャック・ケネディ氏は「英国の労働市場は二極化が進んでいる」と指摘。「職種全般に均等に広がるのではなく、経験豊富な人材やAIに直結する職務に集中している」と述べた。
新たな求人が特定の技術を持つ上級人材に偏っているため、転職を目指す人や労働市場への復帰を目指す人、初めて職を得ようとする人の多くには手が届きにくい。
これは、将来性のあるキャリアにつながるとして、技術系資格の取得を若者に促そうとするバーナム首相の計画にも疑問を投げかける。AIは論文を書けても列車を製造できないと、同首相はソーシャルメディアの動画で主張した。
しかし、ブルーカラー職の採用も急速に鈍化している。製造業の求人件数は22年6月以降、58%減り、昨夏と比べても18%少ない。設置・保守、荷役・商品補充、建設の求人も回復していない。
英国の若年失業率は10年余りで最も高い。イングランド銀行(英中央銀行)のベイリー総裁は、企業が採用も解雇も控える「低採用・低解雇」の経済が原因だと指摘している。

ケネディ氏は「求職者、とりわけキャリアを始めたばかりの人にとって、採用のハードルは一段と上がっている。市場で比較的堅調な分野では、AIの専門能力か豊富な経験のいずれかが求められるケースが増えている」と述べた。
原題:AI Is Creating a Two-Speed Jobs Market in the UK, Indeed Says(抜粋)
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