熱電池を手掛けるスタートアップの米アントラ・エナジーは、熱電池の生産拡大に向けて5億5000万ドル(約880億円)を調達した。重工業やデータセンターによる再生可能エネルギーの活用拡大やコスト削減に貢献する可能性がある。

今月実施した資金調達は、ベンチャーキャピタルのエクリプスとG2ベンチャー・パートナーズが共同で主導し、ビル・ゲイツ氏が創設したブレークスルー・エナジー・ベンチャーズのほか、米ブラックロックとシンガポール政府系投資会社テマセク・ホールディングスの共同出資会社デカーボナイゼーション・パートナーズが参加した。

調達資金は、再生可能エネルギーや送電網と組み合わせて利用するモジュール型熱電池を製造する第2工場の建設に充てる。

発電量に占める再生可能エネルギーの比率が高まる中、蓄電池需要は急増している。この技術により、事業者は再生可能エネルギーの発電量が豊富で需要が低い時間帯に安価な電力を購入・蓄電し、日没時や風力が弱まった時、あるいは電力価格が上昇した際に放電することが可能だ。アントラは、自社の熱電池は24時間体制で安定したエネルギーを供給できるとしている。

アントラの共同創業者で最高経営責任者(CEO)のアンドリュー・ポネック氏はインタビューで、「環境面の価値を重視する顧客もいるが、当社はコスト競争力を備えなければ他の要素は意味を持たないと確信している」と語った。

熱電池は超高温で熱を蓄えることができる点が特徴で、アントラの熱電池は摂氏2400度で動作する。このため、鉄鋼やセメント工場など、高温工程が必要で化石燃料からの転換が難しい重工業施設への適性が高い。

アントラはまた、太陽電池と同様の仕組みを利用して熱を電力へ変換する熱光起電力(TPV)技術も開発している。ポネック氏は、産業用途に加えてデータセンター向け案件なども進めていると明らかにしたが、具体的な顧客名については言及を避けた。

原題:Battery Startup Raises $550 Million Amid Data-Center Boom (1)(抜粋)

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