トランプ米大統領は昨年、日本と韓国が合わせて9000億ドル(約142兆円)を米国に投資すると約束するのと引き換えに、両国への関税を15%に抑えた。

この合意は、トランプ氏が長年にわたり不満を募らせていた日韓両国に対する米貿易赤字を縮小する取り組みの一環だった。2026年1-6月(上期)、日本の対米貿易黒字は200億ドルとなった。一方、米国の対韓貿易赤字は500億ドルだった。

こうした状況に加え、地域の安全保障を米国に大きく依存していることから、日本と韓国にとって通商面で気を緩める余地はほとんどない。日韓はすでに投資約束の履行に着手しており、日本は今年3月に第1弾の投資案件を発表した。トランプ氏は9月下旬、韓国が米国のエネルギー事業に2000億ドルを投資する計画を明らかにした。

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日本は何に合意したのか

日本は米国の事業向けに、投資や融資、融資保証などの形で最大5500億ドルの政府支援による資金を提供することで合意した。赤沢亮正経済産業相は昨年、実際の出資額は5500億ドルのごく一部にとどまる可能性が高いとの見通しを示した。

国際協力銀行(JBIC)や日本貿易保険(NEXI)など政府系機関が重要な役割を担うと見込まれるほか、民間セクターも参加する公算が大きい。

この枠組みでは、ラトニック米商務長官が率いる投資委員会の提言に基づき、トランプ氏が案件を選定する。その後、同委員会は別の協議体を通じて日本側の意見を取り入れる。

日本は、商業的な採算性がない、または過度なリスクを伴うと判断した場合、案件への資金提供を拒否できる。投資はトランプ氏の大統領任期が終了する2029年1月19日までに実施する。初期条件では、元本と未払い利息が全額返済された後、投資利益を最終的に米国側90%、日本側10%の割合で分配すると定めている。

昨年結んだ覚書では、トランプ氏が承認した投資案件について日本側が45日以内に資金を提供しなかった場合、米国は関税を引き上げる権利を留保している。米政府は、日本が合意を誠実に履行する限り、関税を引き上げる意向はないとしている。

日本は米国のどの事業に投資するのか

米国と日本は2回に分けて投資案件を発表した。第1弾は、オハイオ州の天然ガス施設を含む米国の石油・ガス・鉱物関連事業に360億ドルを投じるというもの。第2弾は、テネシー州とアラバマ州にまたがる原子力発電事業と、ペンシルベニア州およびテキサス州の天然ガス発電所に730億ドルを投資する計画だ。

赤沢氏によれば、双方は昨年の合意を超える追加関税を日本に課さないことを確認した。赤沢氏は今年9月にワシントンでラトニック氏およびグリア米通商代表部(USTR)代表と会談し、5500億ドル規模の取り組みについてさらに協議した。

韓国は何に合意したのか

韓国は2025年10月に最終合意した協定に基づき、3500億ドルの投資を約束した。合意では年間投資額を200億ドルに制限している。

韓国銀行(中央銀行)はこれまで、この水準であれば通貨ウォンを不安定化させることなく対応可能との見方を示していた。また、韓国が20年以内に投資元本を回収できなかった場合、利益分配の取り決めを調整できる。

別の条項では、キャッシュフローが保証された商業的に採算の取れる案件のみを実施すると定めている。これは交渉中に韓国政府が求めた安全策だ。

韓国国会は今年3月、政府が投資計画の実施を開始できるようにする法案を可決した。トランプ氏は1月、法案の審議停滞が続けば関税を最大25%まで引き上げる可能性があると警告していた。

韓国は米国のどの事業に投資するのか

トランプ氏は9月30日、韓国が原子力発電所やテキサス州のガス火力発電施設、アラスカ州の天然ガス輸出事業など、米国のエネルギー事業に2000億ドルを投資すると発表した。

「プロジェクト・パワー」では、韓国は原子炉8基に最大1200億ドルを投じる計画だ。内訳は韓国設計のAPR1400が2基、米ウェスチングハウス・エレクトリック設計のAP1000が6基となる。

この事業には両国政府とウェスチングハウス、韓国電力公社(KEPCO)、韓国水力原子力発電(KHNP)が関与する見通しだ。米韓両政府は、韓国企業によるウェスチングハウスへの出資の可能性を検討することでも合意した。

さらに220億ドルを、テキサス州エンシナルに建設する出力6.5ギガワットのガス火力発電所に充てる。「プロジェクト・スター」と呼ばれるこの施設は、韓国政府によると、2029年から近隣のデータセンターに電力を直接供給する計画だ。

米国はまた、非公開企業グレンファーン・グループが開発を進めるアラスカ州の液化天然ガス(LNG)パイプラインと輸出ターミナルの建設に、韓国が540億ドルを投資するとしている。以前から計画されているこの事業では、同州ノーススロープから天然ガスを輸送し、一部を地元の発電に利用する一方、残りを液化してアジアの買い手向けに輸出する。

韓国政府は540億ドルという金額を確認しておらず、韓国の参加が既定路線だとの見方にも反論している。金正官産業通商相は、米国との合意では事業は商業的な採算性がある場合にのみ進めることになっていると説明。両国が合意した内容を超える報道について、政府がラトニック氏に遺憾の意を伝えたと述べた。

大規模な造船業を抱える韓国は「MASGA(米国の造船業を再び偉大に)」と呼ばれる協力事業を通じ、米造船業の競争力回復を支援するため1500億ドルを拠出することも約束している。

こうした投資は日韓経済の重荷になるのか

日本の投資約束額は2025年末時点の年間国内総生産(GDP)の約15%に相当し、潜在的な資金負担額は外貨準備高の半分弱に当たる。

こうした投資コミットメントは、2025年10月に就任した高市早苗首相が国内投資の拡大を経済政策の柱に据える中で行われている。エコノミストらは、対外投資の拡大によって企業が国内事業よりも米国での生産拡大を優先するようになり、国内の産業活動が弱まり得ると指摘している。

韓国にとって相対的な負担はかなり大きい。投資コミットメント額は2024年時点のGDPの約20%、外貨準備高の約80%に相当する。

エコノミストらは、財政や為替へのリスクを軽減し得る年間投資額の上限や安全策を盛り込んだ合意を評価した。一方、韓国史上最大級となる3500億ドルの投資約束が、国の信用格付けや資本流出、他の分野への投資余力に及ぼす影響を巡る懸念は残っている。

原題:How Japan and South Korea Plan to Invest $900 Billion in US(抜粋)

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