31日の日本市場では、国内外のハイテク好決算を受けて日経平均株価が大幅高。円は政府・日本銀行が前日の海外市場で為替介入を実施して急伸した後、再び売りが優勢となり160円台半ばで推移。債券は中期債が下落(金利は上昇)した。

米国では好決算を発表したマイクロソフトや半導体製造装置大手のラムリサーチの株価が急騰した。国内でも東京エレクトロンが上期の業績予想を引き上げ、AI・半導体関連企業の強い業績が再び意識された。アドバンテストやソフトバンクグループなどが急騰し、キオクシアホールディングスはストップ高。日経平均は一時3500円近く(5.7%)上げ、6万5000円台を回復する場面があった。

韓国株の急反発も日本株の追い風となった。韓国総合株価指数(KOSPI)は一時19%高と、過去最大の上昇率を記録した。レバレッジ取引の解消が一巡しつつあるとの見方や、AIインフラ投資の拡大が企業収益を押し上げるとの期待が広がった。

三菱UFJ信託銀行の押久保直也チーフ・マーケット・エコノミストは、決算でAI関連の需要が依然として堅調なことが確認され、「設備投資の拡大に対する懸念は行き過ぎていたことが明らかになった」と指摘。多くの投資家が「押し目買いを入れている」と言う。

日銀は31日、金融政策決定会合を開き政策金利を据え置いた。植田和男総裁は午後の記者会見で、「基調的な物価上昇率が物価の目標である2%に近づいていることを踏まえると、これまで以上に物価の上振れリスクを意識する必要がある」と述べ、引き続き金融政策の正常化を進める姿勢を明確にした。円は会見中に一時160円を割り込んだが、すぐに160円台半ばに戻した。

株式

業種では電機や非鉄金属、機械のほか、みずほフィナンシャルグループの好決算を受けて銀行も買われた。半面、自動車や医薬品、小売りなどは下げた。

午後の取引では伸び悩んだ。りそなアセットマネジメントの下出衛チーフ・ストラテジストは「これまでのAI・半導体関連株の調整で傷を負った投資家は多く、戻り売りは出やすい」と言う。

東海東京インテリジェンス・ラボの山藤将太エクイティマーケットアナリストは「需給面のデータでは、まだ上値追いのゴーサインは出ていない」と述べた。日本株の信用買い残はなお高水準なことに加え、キオクシアHDなどの高水準な売買代金を踏まえると短期投資家の資金もまだ多く、テック株中心にボラティリティーが高い展開は続きそうだとの見方を示した。

為替

円は対ドルで160円台半ばに下落。日銀が政策金利据え置きを発表した後も円安基調は維持された。

政府・日銀は30日のニューヨーク外国為替市場で円買い・ドル売り介入を実施した。これを受けて円は対ドルで一時157円98銭まで急伸。日中上昇率は3.3%と2023年12月以来の大きさとなった。

外為どっとコム総合研究所の神田卓也シニア為替アナリストは、日銀の金利据え置きに反対したのが高田委員のみだったこと、2026年度の消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)見通しを若干下方修正したことなどが円売りを加速させた可能性があると語った。

「12月の利上げはあるにしても、9月、10月の前倒しはなさそうだ」と話し、日米の金融政策などから円高に振れる公算は小さいとみる。

あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、実需によるドルの買い戻しで円が下落したと述べた。為替介入は円売りの勢いを弱める意味はあったが、円安のスピードが速ければ追加介入の可能性もあるとの見方を示した。

債券

債券は中期債が下落。ただ、先物は上昇し、植田日銀総裁の会見を前に狭いレンジでの動きとなった。

パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は電話取材で、為替介入は日銀の早期利上げとのパッケージだと皆が理解しており、中長期金利には上昇圧力が加わるとみていた。

植田総裁の会見について、SMBC日興証券の丸山凜途シニア金利・為替ストラテジストは、利上げ時期の言及を避けたためハト派として捉えられた可能性がある一方、物価2%以上の上振れリスクを繰り返していたため「実際はタカ派色が強かった」と指摘。市場への大きな影響はないと話した。

新発国債利回り(午後3時時点)

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

(5段落に植田日銀総裁の会見を追加し、市場関係者のコメントを追記します)

--取材協力:日高正裕、アリス・フレンチ.

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