激しい受験競争で知られる韓国。実は今、幼児のいわゆる“お受験”が過熱し、国がきょうから入園テストを法律で禁止する事態となっています。幼児専門の家庭教師が過酷な詰め込み教育の実態を語りました。

韓国・ソウル市内の英語教室。通っているのは、4歳から5歳の幼児たちです。

「Repeat after me. A head.」
「A head.」

韓国では、子どもが幼いうちから英語を学ばせる親が急増しています。

そんななか、特にソウルの富裕層エリアでは、通称「4歳考試」と呼ばれる名門英語幼稚園に入るための激しい受験競争が起きていました。日本の年齢では3歳で受ける試験。英語幼稚園は法律上、「塾」という位置づけですが、あまりの過熱ぶりに…

記者
「韓国随一の塾街、ソウルの江南エリアです。過熱する幼児教育に歯止めをかけるため、きょうから、幼児への『入塾テスト』などを禁止する新しい法律が施行されます」

国が介入する事態に発展したのです。現場で何が起きていたのか。英語幼稚園の「入試対策」を行っている家庭教師が、詰め込み教育の実態を明かしました。

「入試対策」向けの家庭教師
「朝9時の登園バスの前に、朝8時から来てくれと言われます。それで朝8時からアルファベットや発音、スピーキングなどを教えます」

3歳児に教えるのは、なんと小学3、4年生レベルの英語。ハングルよりも先に英語を覚えさせます。

「入試対策」向けの家庭教師
「関心を引くためにおもちゃなどを持っていきます。それをご褒美として『先生の授業をちゃんと聞いたらあげるよ』と」

英語幼稚園の授業料は高いところで、月およそ30万円とも言われます。

「入試対策」向けの家庭教師
「気の毒ですが、私もプロなので、『集中して!』『先生を見て!』『リピートして!』と英語でやります。お母さんも向こうから“鷹のような目”で見ているのです」

そのスパルタ授業で追い詰められていく子どもたち。

「入試対策」向けの家庭教師
「勉強を始めてすぐ、頻繁にトイレに行くようになった子もいました。病院に通ったのですが、精神的にプレッシャーやストレスがある場合、こういう症状が出ると」

一方で、親たちは合否に翻弄されていました。

「入試対策」向けの家庭教師
「同僚の教え子の親は(子どもの不合格に)あまりに大きなショックを受け、頭を丸刈りにしたと聞きました」

親がこれほどまでに必死になる背景には、韓国の過酷な学歴社会があります。

子どもを英語幼稚園に通わせる親
「AI時代であっても、幼少期に身につけた英語力こそが最大の武器になる」

専門家は、発達段階に合わせたアプローチが重要だと語ります。

高麗大学校九老病院 小児青少年科 ヤン・ドンファ教授
「過度に学習させることで自尊心だけでなく、ストレスをコントロールできなくなり、将来的には他者と対人関係を築く上でも問題になります」

過熱する受験競争のなか、子どもの心身の健康をどう守るのか。国を挙げた手探りが続いています。