OpenAIの元研究者レオポルド・アッシェンブレナー氏が設立したヘッジファンド、シチュエーショナル・アウェアネスは、保有していたAI関連株の大半を、資産家ケン・グリフィン氏率いるシタデルに買い取られ、運用資産が約100億ドル(1兆5900億円)に減少した。

事情に詳しい関係者によると、シチュエーショナルの運用資産は数カ月前に比べて半分未満になった。同関係者は非公開情報を理由に匿名で話した。事情に詳しい複数の関係者によると、シチュエーショナルはここ数週間のAI株急落で損失を出し、一部の株式ポジションの清算を開始していた。

シチュエーショナルの運用資産は5月下旬時点で200億ドルを超えていたと、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が当時報じていた。同ファンドの主要投資先の一部は、その後さらに株価が上昇したものの、今月に入り急落した。

関係者の1人によると、シチュエーショナルは今週の資産売却を経て、投資利益を拡大するために利用していたレバレッジに関し銀行への返済を済ませた。

シチュエーショナルの目覚ましい成長と、その後急ピッチで進められた資産売却は業界の注目を集めている。アッシェンブレナー氏は、かつてウォール街で起きた大規模なレバレッジ破綻と同じ運命を免れたと考えられる。

ビル・フアン氏が創業したアルケゴス・キャピタルは2021年、銀行から相次いでマージンコール(追加証拠金の差し入れ要求)を受け、ポジションの清算を余儀なくされ、破綻へのスパイラルに陥った。それらのポジションは同氏の積極的な投資によって膨らんでいた。一方、アッシェンブレナー氏は今回、非公開企業の持ち分を手放さずに済んだため、今週を終えた時点でも大半のヘッジファンドを上回る規模のポートフォリオを維持する可能性がある。

関係者の1人によると、シチュエーショナル・アウェアネスは現在もアンソロピックなど非公開企業への投資を保有しており、その持ち分の価値は約50億ドルとされる。

アッシェンブレナー氏はAI研究者としてシリコンバレーでは広く知られ、2024年に「Situational Awareness(状況認識:これからの10年)」と題する論考で、AI開発競争のリスクと、変化がいかに急速に進み得るかについて警鐘を鳴らした。同氏はその年に投資会社を設立。規制当局への届け出によると、昨年末時点の従業員数は約8人だった。

シチュエーショナル・アウェアネスはブルーム・エナジーや半導体メーカーのサンディスク、クラウドサービスのコアウィーブなど、AIブームに関連する企業へ投資してきた。また、グーグルの半導体部門出身者2人が創業したAIチップ新興企業、マットXの資金調達ラウンドでは主導的な役割を果たした。

アッシェンブレナー氏のファンドは、AI特化型クラウドプラットフォームであるオランダのネビウス・グループにも出資していたが、同社株は6月の高値から大きく下落している。また、今月米国市場へ上場した韓国のSKハイニックスなど、アジア企業を通じてもAIブームへのエクスポージャーを有していた。SKハイニックスの米国預託証券(ADR)はその後下落し、現在も上場価格の149ドルを下回って取引されている。

原題:Situational Awareness Drops to $10 Billion as Citadel Steps In(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.