30日の米株式相場は反発。大手半導体銘柄が持ち直し、主要株価指数を押し上げた。強気相場をけん引してきたAIトレードにはなお上昇余地があるとの見方から、押し目買いが入った。

フィラデルフィア半導体株指数は6営業日ぶりに上昇し、8.2%高で終了。ハイテク銘柄の比重が大きいナスダック100指数は3.4%上げた。前日にはテクニカル上の調整局面に入っていた。

マイクロソフトは16%急伸。クラウド事業の売上高急増が好感された。オラクルも上昇。同社はグーグルのAIモデル「Gemini」との提携を拡大した。一方、メタ・プラットフォームズは下落。

時間外取引ではアマゾン・ドット・コムが上昇。引け後に発表した4-6月(第2四半期)決算でクラウド事業の売上高が市場予想を上回った。

ケン・グリフィン氏率いるシタデルは、OpenAIの元研究者レオポルド・アッシェンブレナー氏が設立したヘッジファンド、シチュエーショナル・アウェアネスが保有していたAI関連株の大半を取得した。シチュエーショナルが投資してきたAIブーム関連銘柄のブルーム・エナジーや半導体メーカーのサンディスク、クラウドサービスのコアウィーブはいずれも20%を超える値上がりとなった。

4-6月期(第2四半期)の米実質国内総生産(GDP)速報値は、前期比年率1.5%増と、予想を下回る伸びにとどまった。一方で個人消費は上向き、企業の設備投資は堅調だった。

ウェルズ・ファーゴ投資研究所のグローバル株式・実物資産部門責任者サミーア・サマナ氏は「短期的なボラティリティーはあるものの、米国株の見通しは引き続き明るい。堅調な企業業績やAI導入の拡大、底堅い米経済、良好な金融環境に支えられている」と述べた。

トゥルイスト・アドバイザリー・サービシズのキース・ラーナー氏は最近の株安について、過熱していた相場のリセットとみる方が自然であり、本筋のトレンドが崩れたわけではないとの見方を示した。「強気相場はなお続いている」と続けた。

半導体株は月間ベースではなお21%安。2008年以来の大幅下落となる見通しだ。AI関連需要は依然として旺盛だが、激しいボラティリティーにさらされている。過去数カ月に株価が大きく上昇していたため、高い期待が織り込まれ、わずかな失望でも売りにつながりやすい。

UBSのチーフ・インベストメント・オフィスのウルリケ・ホフマン・ブチャディ氏は、「AI成長ストーリーへの強気な見方は維持している。ただ、投資家はディフェンシブなテクノロジー株にも投資対象を広げることで、銘柄集中リスクを管理すべきだ」と述べた。

国債

米国債相場は短期債を中心に上昇(利回りは低下)。長期債はアンダーパフォームした。

30年債利回りは前日に10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)超上昇し、2007年以来の高水準を付けた後、この日も5.2%近辺で推移した。

この日発表された6月の米個人消費支出(PCE)統計で、連邦準備制度理事会(FRB)が重視するインフレ指標のPCE価格指数は、前年同月比で3.7%上昇。前月の4.1%上昇から伸びが鈍化し、エコノミスト予想と一致した。

ただ、同価格指数は2021年3月以降、FRBの2%目標を一貫して上回っている。また、6月に下落していた原油価格は再び上昇基調に転じた。米国がイランへの攻撃を再開し、中東の供給懸念が強まったことが背景にある。

ダンスケ銀行のチーフアナリスト、イェンス・ペーター・セーレンセン氏は「インフレが鈍化しなければ、長期債利回りが一段と上昇するリスクがある」と指摘。「市場は利上げが何回必要になるのかを見通せない状況で、利上げが実施される時期も市場予想より後ずれする可能性がある」と話した。

前日の連邦公開市場委員会(FOMC)の政策決定自体は市場の予想通りだったが、金利市場では、ウォーシュFRB議長がインフレ抑制への強い姿勢を印象づけるため利上げに踏み切るとの見方も、約40%の確率で織り込まれていた。しかし、実際には利上げは見送られたため、今後数カ月の追加利上げ観測は後退。短期債利回りは今月付けた数カ月ぶりの高水準から低下した。

コーペイのストラテジスト、カール・シャモッタ氏は、ウォーシュ氏の前日の発言について、「信認ショック」をもたらしたと指摘。「FRBはインフレ抑制へのコミットメントで揺らぐことはない」とウォーシュ氏は強調する一方で、物価を抑えるために必ずしも利上げは必要ではないとの考えを示したとし、長期金利の上昇が実質的に金融引き締めの役割を果たしていると主張したと指摘した。

外為

外国為替市場では円相場が対ドルで急上昇した。市場では、日本銀行の金融政策決定会合での政策決定を控え、政府・日銀による円買い介入観測が浮上している。

円は対ドルで一時3%を超える上昇。1ドル=157円98銭まで買われた。それ以前は、162円台後半で推移していた。日中ベースで2023年12月以来の大幅高となった。

日本経済新聞オンライン版は関係者情報として、政府・日銀が介入に動いたほか、米通貨当局が「レートチェック」をしたと報じた。

CIBCキャピタル・マーケッツのノア・バファム氏は「ドル・円の値動きは、典型的な為替介入の兆候を示している」と述べた。

BNYのシニアストラテジスト、ジェフリー・ユー氏も「変動の規模は、介入を強く示唆している」と指摘。「ただ、その効果については引き継ぎ疑問だ」と付け加えた。

三井住友信託銀行ニューヨークグローバルマーケッツ部の山本威調査役は、介入の可能性が高いとした上で、前日のFOMC後に円高・ドル安となった流れに加え、日銀会合前というタイミングも、市場の不意を突く上で効果的だとの見方を示した。

また、「このタイミングで介入に入れば、日銀会合が仮にハト派の内容となっても、2回目の介入があるかもしれないと思わせることで、円を売りづらくなる可能性がある」と述べた。

バンク・オブ・ナッソー1982のチーフエコノミスト、ウィン・シン氏は「このタイミングであれば賢明だろう」と指摘。「市場の流れに逆らうのではなく、それに乗る形になる」と述べた。

シティグループのアナリスト、ダニエル・トボン、高島修、ブライアン・レビン3氏も、この日の円急騰は「過去の為替介入時に見られた値動きと一致している」と指摘。「しかし、31日の日銀金融政策決定会合で植田総裁が市場の予想以上にタカ派的な姿勢を示すのは難しい。市場が失望する恐れがある」とし、ドル・円相場は31日のアジア取引時間に持ち直す余地があり、その後も上昇基調が続く可能性があるとの見方を示した。

原油

原油相場は反落。夏場で取引が低調となる中、売りが優勢になった。ホルムズ海峡を通過する船舶が増加している兆候がある一方、イランから黒海にかけて戦闘が再び激化した。

ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物9月限は、前日比87セント(1%)安の1バレル=83.59ドルで取引を終えた。北海ブレント先物9月限は1.9%安の89.03ドルで終了。31日の同限月の最終取引日を前に建玉が減少傾向にあり、値動きをゆがめる要因となった。

米国とイランが30日に空爆を応酬したことや、ペルシャ湾と世界市場を結ぶホルムズ海峡の船舶航行が持ち直していることを見極めようとする動きが交錯し、積極的な取引を手控える姿勢が広がった。

市場情報会社ケプラーのデータによれば、29日にホルムズ海峡を双方向に通過した資源輸送船は14隻と、先週の1桁台から増加した。一方、中国の原油在庫は依然として高水準にあり、輸入を抑制したまま在庫を活用し続ける余地があることを示している。

エネルギー市場は今月、イランと米国の戦闘が一時停止した後にまたも激化する展開を受け、再び激しい値動きとなった。米中央軍はX(旧ツイッター)への投稿で、米軍部隊やアラブの同盟国、域内の商船に対するイランの脅威を弱めることを目的に、30日未明にイラン軍の数十カ所の標的を攻撃したと明らかにした。

対立の焦点となっているのはホルムズ海峡だ。イランは同海峡の支配権を主張し、この権限に挑戦するタンカーを攻撃している。サウジアラビアは同海峡を迂回(うかい)するため、紅海につながる東西パイプライン経由に原油輸送を切り替えているが、このルートもイエメンの親イラン武装組織フーシ派の脅威にさらされている。サウジ軍は、イラク国内の親イラン武装勢力に関連する標的への攻撃で米軍に加わった。

ロシアの黒海沿岸にあるカスピ海パイプライン・コンソーシアム(CPC)の原油輸出ターミナルで、積み込みを試みる船舶2隻が攻撃を受けたことにも注目が集まっている。先週も同様の攻撃があり、数日間にわたり積み出しが停止したことで、原油価格は100ドルを上回る水準まで押し上げられた。

TDカウエンのアナリストはリポートで、「商品投資顧問業者(CTA)は足元でWTI原油先物を売り越しているものの、供給環境は引き続き逼迫(ひっぱく)している」と指摘。CPCターミナルへの攻撃により、「ロシア産原油の輸出は6月平均と比べて日量100万-200万バレル低い状態が続くだろう。ドローン攻撃が続けば、積み出し停止はさらに長期化する可能性がある」と述べた。

金スポット相場は続伸。米連邦公開市場委員会(FOMC)が政策金利を据え置いたことを受け、市場では今後の政策金利の行方を見極める動きが広がった。

金スポット価格は1オンス=4100ドル前後で推移した。前日はFOMCが9対3の賛成多数で金利据え置きを決定したことを受けて上昇していた。利上げを実施していれば、利息を生まない金には逆風となっていた。ただ、票決が割れたことは、再燃するインフレ圧力を抑制するためには将来的に借り入れコストの引き上げが必要になるとの見方が、一部の当局者の間で強まっていることを示した。

グローバルX・ETFsのアナリスト、ジャスティン・リン氏は、30日の金相場の不安定な値動きについて、FRB議長の発言に対する市場の反応が「まちまち」だったことを反映していると指摘。「ウォーシュ議長のタカ派的な発言が正当性を高めるためのものに過ぎないのか、それとも発言を額面通り受け止めるべきなのか、市場はなお判断に迷っている」と述べた。

金価格は、5カ月余り前に米国とイランの戦争が始まって以降、約25%下落している。エネルギー価格の高騰がインフレ圧力を強め、金利が高水準で長期化するとの見方が広がったことが背景にある。ただ、ここ数週間は押し目買いが入り、4000ドル前後の重要な節目近辺で相場を支えている。金は2月以来初めて月間で上昇する見通しだ。

MKS PAMPの調査・金属戦略責任者、ニッキー・シールズ氏はリポートで、貴金属や債券のように空売りが積み上がっている、あるいは敬遠されている資産クラスは、FOMCの決定を受けて自律反発が期待できると指摘。「金への投資を本格的に再開する好機との見方が慎重ながら広がりつつある」と述べ、4200ドルが「重要な転換点」になるとの見方を示した。

一方、中東情勢の緊迫が金相場への圧力を強めた。米国は域内の米軍基地への攻撃に対する報復として、イランに対する新たな空爆を実施した。両国は先週末、外交による事態打開を目指して戦闘をいったん停止していたが、その休戦は短期間で終わった。

スポット価格はニューヨーク時間午後2時32分現在、前日比37.80ドル(0.9%)高の4105.36ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は、63.60ドル(1.6%)高の4160.60ドルで終えた。

欧州

30日の取引では、英国債が上げを拡大。イングランド銀行(英中央銀行)は政策金利を据え置き、この発表後のベイリー総裁のコメントも、当面の間は利上げがないとの見方を強めた。

英10年債利回りは5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下して4.98%。2年債利回りは12bp低下して4.33%となった。

ベイリー総裁は記者会見で、「利上げに近づいている」との印象は持たないでもらいたいとくぎを刺した。

短期金融市場が織り込む英中銀の年内利上げ幅は33bpに後退。英中銀の政策発表前は38bpだった。

株式は反発。フランスの電力設備メーカー、シュナイダーエレクトリックや航空機用エンジンを手がける英ロールスロイス・ホールディングスの好決算を支えに、仏製薬サノフィの急落を打ち消した。

ストックス欧州600指数は0.8%上昇。業種別では鉱業や銀行が上げを主導した。

業績見通しを上方修正したシュナイダーは11%高。ロールスロイスも業績予想を再度引き上げ、6%上昇した。

英国株の指標であるFTSE100は一時0.7%上昇して過去最高値を付けたが、終値は0.1%安。英中銀は政策金利を据え置き、ベイリー総裁は利上げに近づいてはいないと主張した。

一方、サノフィは9%安。特許取得から年数が経っている主力の1製品に対する依存が大きく、同社に「成長力の問題」があるとアナリストが指摘したことが嫌気された。ドイツのスポーツ用品メーカー、アディダスも利益が予想を下回り、12%安に沈んだ。

7月30日の欧州マーケット概観(表はロンドン午後6時現在)

原題:Nasdaq 100 Gains 3% as Buyers Emerge After AI Rout: Markets Wrap(抜粋)

US Stocks Rally With Boost From Microsoft’s Surge; Chips Jump

US Long-Term Yields Stay Elevated After First Post-Fed Data (1)

Yen Surge Spurs Speculation Japan Intervened in Market Again (3)

Oil Dips as Traders Weigh Hormuz Flows Against US-Iran Attacks

Gold Inches Up as Traders Weigh Fed Rate Path After Latest Hold

European Stocks Advance on Busy Earnings Day; Sanofi Slumps

UK Gilts Extend Gains, BOE Comments Add to Rate Hike Repricing

UK Gilts Surge on Dovish BOE Comment: End-of-Day Curves

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.