(ブルームバーグ):高市早苗首相は30日、2027年4月から2年間、飲食料品の消費税率を現行の8%から1%に引き下げる意向を表明した。財源は赤字国債に頼らない方針。9月には大綱を決定した上で臨時国会に法案を提出し、早期成立を目指す。
官邸で記者団に語った。首相は物価高などに苦しむ国民の負担軽減が「現下の重要課題だ」と強調。消費税減税を2月の衆院選で掲げたことを挙げ、有権者に納得感のある十分な税率引き下げが必要だと判断したと説明した。税率は2年後には「私が責任をもって確実に元に戻す」と明言した。
消費減税は29年4月に「所得に連動したきめ細かな給付」を本格導入するまでの「つなぎ」措置と位置付ける。27年6月以降には飲食料品への消費税率1%相当分の範囲内で同給付を先行導入する方針も示した。消費減税が実行されれば1989年の導入以来、初めて。
消費減税を自身の「悲願」とする首相は、衆院選の公約に超党派の国民会議で「実現に向けた検討を加速」と明記したが、各党の意見は一致しなかった。自民党内には反対論もあるが、首相は小野寺五典税制調査会長が同会議で示した1%への減税案の採用を決断した。理由として「十分性と迅速性の双方を追求した」と語った。
これに先立ち、高市首相は自民党の臨時役員会で同方針を示した。8月上旬までに党内の意見をまとめるよう指示したという。同党の鈴木俊一幹事長が記者団に明らかにした。鈴木氏は、役員会は全会一致で了解したとした上で、党内調整の過程で「激しい議論があったとしても最終的にはまとめたい」と述べた。
役員会で示された首相の意向が報じられると、10年国債利回りは一時前日比6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)高い2.805%に上昇した。財政懸念を映しやすい超長期ゾーンでも売りが続き、30年債利回りは同4.5bp高い3.975%をつけた。
りそなアセットマネジメント債券運用部の藤原貴志リードファンドマネジャーは、米連邦公開市場委員会(FOMC)後に米国の長めの金利が上昇したことに加え、売り材料視されていると指摘した。

財源確保
今後は明確な財源を示すことができるかが焦点だ。首相は消費減税や29年度から本格導入する新たな給付制度も含め、「市場の信認が得られるよう、特例公債に頼らずに確保する」と改めて明言した。歳出歳入両面の改革を進めるとした。
具体的には租税特別措置・補助金の見直し、税外収入の活用を挙げた。今回表明した消費減税と給付が物価高対策の意味を持つことを踏まえ、従来の物価高対策予算の中身も精査する考えも示した。消費減税など当面の負担軽減策には年間約5兆円の財源が必要になる。
野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは29日付のリポートで、食品消費税率の1%への引き下げにより、4人の世帯にとっては1年間で5万8863円の負担減となると試算。実質国内総生産(GDP)は0.19%押し上げられるとした。一方、財政懸念から円安が進行すれば物価が上昇し、経済効果を損ねると指摘した。
他の首相発言
- 農業従事者や外食産業への影響を見極め、過去の支援策を参考に対応を検討-消費減税
- 経済状況次第で減税を継続する「景気条項」を盛り込む必要はない-減税法案
- 消費税率を柔軟に変更するシステム構築必要
- 「給付付き税額控除」の最終形は継続して検討行う
(高市首相の発言などを追加し、更新しました)
--取材協力:日高正裕.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.