米連邦公開市場委員会(FOMC)は28、29両日に開いた定例会合で政策金利を据え置いた。ただ、連邦準備制度理事会(FRB)のウォーシュ議長は声明発表後の記者会見で、金利据え置きは金融当局が対応を怠っていることを意味するものではないと強調し、インフレ抑制に引き続き取り組む姿勢を改めて示した。

今回の会合では、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を3.5-3.75%のレンジに据え置くことを賛成9、反対3で決定した。ダラス連銀のローガン総裁、クリーブランド連銀のハマック総裁、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、0.25ポイントの利上げを主張して反対票を投じた。

投票結果は意見の相違を映し出し、再燃するインフレを抑えるには利上げが必要との認識が一部当局者の間で強まっていることが示された。

声明のこの他の部分は、前回6月会合後に公表された内容とほぼ同一だった。FOMCは「物価安定を実現する」との文言を維持した。

Michael McKee記者がFOMCについてリポート

ウォーシュ議長は「一部の家計や企業、市場関係者の間では、5年にわたる高インフレを受けて、FRBは2%を超えるインフレ率を事実上容認しているとの誤った認識が根強く残っている」と指摘。「改めて強調したい。インフレの緩やかな目標など存在しない。少なくとも、この委員会の下では、暗黙の緩やかな目標も存在しない」と述べた。

政策金利の据え置きは5会合連続。ただ、反対票が投じられたため、5月に就任したウォーシュ議長にとって、インフレ懸念が強まれば金利据え置きを続けることは一段と難しくなる可能性が示された。

米株式市場ではS&P500種株価指数が下落した。米国債市場では、2年債利回りが低下した一方、30年債利回りは2007年以来の5.2%台に上昇した。

ウォーシュ議長はインフレ率をFRBの目標である2%へ戻す方針を掲げているが、そのために利上げを実施するとは明言していない。29日の記者会見で、この点について問われると、利上げの可能性に従来より踏み込んだ発言をした。

議長は「インフレ率が見通し期間を通じて高止まりするようであれば、金利はその対応策の一つになり得るが、それだけが手段というわけではない」と述べた。

今回利上げを見送った理由については、前回会合以降、市場金利が上昇しており、市場が中央銀行の役割の一部を果たしているとの認識を示した。その背景として、将来の政策金利見通しに関するガイダンスを縮小する自身の判断を挙げた。

さらに「市場に影響を与えようとする姿勢を一部後退させたことで、市場は自ら判断を下した」と説明。「米国債の利回り曲線全体で名目金利に対する市場の見方は上方修正された」と述べた。

幾人かの当局者は最近、現時点では金融政策は適切な位置にあるとの認識を示す一方、物価上昇圧力の緩和が遅れれば、利上げを支持する可能性を示唆している。FRBが重視するインフレ指標である個人消費支出(PCE)コア価格指数は、ここ数カ月に加速し、5月は前年同月比3.4%に達した。30日には6月の数値が発表される。

14日に発表された6月の消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことから、FOMCが今会合で利上げに踏み切る必要性はやや後退していた。米国では、イランとの戦争が一時的に落ち着く中でガソリン価格が下落し、6月のCPIは前月比で6年ぶりに低下した。15日に発表された生産者物価指数(PPI)も予想を下回る伸びにとどまった。

ただ、中東で戦闘が再び激化し、北海ブレント原油価格が1バレル=100ドルを超えたため、物価上昇圧力は再び強まっている。原油価格はここ数日で再び下落したものの、ブレント原油は29日午前に90ドルを突破した。

戦争を巡る先行き不透明感に加え、新たな関税措置やAIブームに伴う需要拡大もあり、インフレ率が長期間にわたり高止まりするとの懸念が強まっている。

一方、労働市場では雇用者数がここ数カ月にわたり緩やかながら着実に増加し、失業率も安定している。

FOMC声明では、経済活動が「堅調なペース」で拡大しつつあるとの認識を繰り返したほか、設備投資と生産性の伸びが力強いとの見方も維持した。インフレ率については、2%目標に比べて高止まりしているとの判断を維持した。

会合前には、ウォーシュ議長が利上げ支持に回り、市場を驚かせる可能性があると一部のエコノミストが予想していた。FF金利先物市場では、会合前の数日間、利上げの確率が最大40%織り込まれていた。

原題:Fed Holds Rates, Three Officials Dissent Favoring a Hike (3)(抜粋)

(チャートを加えて更新します)

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