英国の首都ロンドンの人口が、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期を除いてほぼ50年ぶりに減少した。物価高でロンドンに住み続けることが難しくなっている表れと言えそうだ。

英政府統計局(ONS)が公表した最新の推計によると、2025年半ば時点のロンドンの人口は910万人と、過去最高を記録した前年から約2万7000人減少した。

英国のイングランドで、人口が減少した地域はロンドンだけで、国内他地域への転居が減少の主因だった。コロナ対策の都市封鎖(ロックダウン)で2020年と21年にロンドンの人口は減少したが、その後3年間は力強い回復が続いていた。

ロンドンは生活費の高騰に加え、リモートワークの普及率も他の主要国に比べてなお高い。このためロンドンの給与水準を維持しつつ、高額な家賃を避けられる地域での暮らしを人々が模索している可能性もある。

また、ロンドンは2025年に純流入者数も17万1000人に落ち込んだ。ピークを付けた23年3月までの1年間では、94万4000人に上っていた。

ONSの過去のデータによると、ロンドンの人口減少は、新型コロナ流行による一時的な落ち込みを除けば1988年以来初めて。市内の区別では、ロンドン南部のサザークとランベスの人口減少が最も大きく、中心部のカムデンとウェストミンスターがこれに続く。

オックスフォード・エコノミクスのアソシエートディレクター、リアム・サイズ氏は、「ロンドンはさまざまな要因から生活費が上昇する一方、住む利点は低下、住める余力のある人は限られ、ロンドン勤務を求める企業側の必要性も後退している」と指摘した。

さらに、移民の減少、低調な新卒採用市場、就労による経済的な見返りの縮小なども同氏は要因に挙げた。

ロンドンを離れ、向かう先は

国内移動を分析したリポートによると、ロンドンからの転居先として人気があるのはロンドンの北西に位置するバッキンガムシャー州、ロンドンから北西のエセックス州、バーミンガム、ブライトン、ブリストルの各市、スコットランドなどだった。

純転出で目立ったのは30代と40代で、とりわけ子どものいる世帯が多かった。一方、20代は純流入となっており、ロンドンの文化的な魅力や、若者がキャリア形成の足掛かりをつかもうとやって来ている可能性が示唆された。

ドイツ銀行リサーチ・インスティテュートが最近公表したリポートでは、ロンドンの物価は複数の指標で英国内外の多くの都市よりも高いとされた。ロンドン中心部のマンション価格は1平方メートル当たり2万ドルを超えていたが、エディンバラは約6700ドル、バーミンガムは5400ドル程度だった。

原題:London Population Falls for First Time Since 1980s Ex-Covid (2)(抜粋)

--取材協力:Andrew Atkinson.

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