ウォール街では、スペースX株に連動する複雑な投資商品の投入が相次いでいる。同社株は上場後に急落しており、将来の下落リスクから投資家を守ることを狙う。

規制当局への届け出によると、モルガン・スタンレーやマレックス・グループなど少なくとも5社の金融機関が、スペースX株に連動する仕組み債の提供を計画している。今後数カ月から数年にわたり上昇余地は制限される一方、株価下落率が最大50%までであれば損失を抑える内容となっている。

6月の新規株式公開(IPO)以降、ウォール街ではイーロン・マスク氏率いるロケット・衛星・AI事業を手がけるスペースXを巡り、オプションやレバレッジ型上場投資信託(ETF)をはじめ、多様な投資商品の市場が形成されてきた。

上場後の高値から40%余り下落し、激しい売買や大幅な値動きが続く中、今後は同様の商品を投入する金融機関がさらに増える可能性があると、スチュワード・パートナーズ傘下ワシントン・ウェルス・グループのエグゼクティブ・マネジング・ディレクター、アーロン・ブラックマン氏は指摘した。

同氏は「新規上場銘柄を巡るオプション市場の流動性が高まるほど、他の銀行もリスクを織り込んだ価格設定を行いやすくなる」と説明。「値動きが大きく、投資家の関心を集める銘柄ほど、それに連動する仕組み債が組成される可能性が高まる」と述べた。

今回の商品投入は、ウォール街が人気銘柄に便乗して新たな金融商品を投入する最近の動きを象徴するものだ。その多くは高額な手数料を伴う。

仕組み債は債券の性質とデリバティブを組み合わせた債務証券で、通常の債券を上回るリターンが期待できる設計となっている。主に、投資ポートフォリオのリスク特性を柔軟に設計したい富裕層やファミリーオフィス、裁量運用を手がける運用会社などに利用されている。

マレックスの米国仕組み商品セールスのディレクター、サラ・ラコンテ氏は「新規上場銘柄に連動する仕組み商品の投入としては、異例の速さだ」と指摘。「仕組み債市場では、個別株やボラティリティー、AI関連取引への需要が一般的になっている」と述べた。

マレックスは満期まで9カ月の仕組み債を提供している。あらかじめ定められた判定日にスペースX株が当初価格以上で取引を終えれば、期限前償還(コール)が行われ、元本は全額返還される。償還まで保有している間は、株価の値動きにかかわらず、少なくとも月1.8%の利息が支払われる。一方、満期時には株価下落率が35%以内であれば元本が保護されるが、それを超えて下落した場合は損失を全て負うことになる。

モルガン・スタンレーは2028年初めの満期時点でスペースX株が横ばいまたは上昇していれば、40%の固定リターンを受け取れる仕組み債を提供している。株価下落率が50%未満であれば同じリターンが支払われる一方、50%を超えて下落した場合は損失を全て負担することになる。

このほか、シティグループやウェルズ・ファーゴ、RBCキャピタル・マーケッツも、スペースX株に連動する仕組み債の提供を計画している。グラナイトシェアーズはこれに先立ち、同社株に連動する期限前償還条項付きのETFを届け出た。

スチュワード・パートナーズのブラックマン氏は単一銘柄に連動する仕組み債について、「リスクとリターンの逆転現象」があるとして好意的ではない。「値動きの大きい銘柄では上昇余地が制限される一方、損失保護の水準を下回れば下落リスクは事実上無制限になる」と指摘。「そうであれば、その銘柄をそのまま買えばいいのではないか」と述べた。

原題:Wall Street Races to Sell SpaceX-Linked Products as Stock Sinks(抜粋)

--取材協力:Yiqin Shen.

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