円相場は週間ベースで2カ月超ぶりの大幅安となる可能性が高い。当局による為替介入の警告にもかかわらず、市場では一段の円安を見込む声が根強い。

円は23日に対ドルで163円99銭と約40年ぶりの安値を更新し、節目として意識される165円に迫っている。今週はこれまでに約0.8%下落しており、このままいけば過去最大規模の円買い介入が実施された後に円安が進んだ5月以来、最大の週間下落率となる。

中東情勢の緊迫化を背景にエネルギー供給への懸念が強まり、米連邦準備制度理事会(FRB)による追加利上げ観測が高まる中、ドル高が進み、円相場の重しとなっている。

片山さつき財務相や木原稔官房長官は今週、必要に応じて対応する用意があると述べ、円安の動きをけん制したが、市場の反応は限られた。複数の関係者によると、日本銀行は利上げペースを半年に1回程度の市場見通しよりも加速させることに柔軟な姿勢を示している。ただ、日米の金利差は依然大きく、円安圧力が続いている。

IGオーストラリアのアナリスト、トニー・シカモア氏は、円は対ドルで165円に向けて下落すると予想する。「エネルギー価格の急騰や米金融政策見通しのタカ派方向への修正、円の安全資産としての地位低下を背景に、日本当局者がきょう為替介入や日銀の早期利上げについて言及しても無視される可能性が高い」と指摘。「現時点で円を支えようとするのは、新幹線の前に立ちはだかるようなものだ」と述べた。

市場では日銀が来週の金融政策決定会合で政策金利を据え置くとの見方が大勢を占めている。ブルームバーグが実施したエコノミスト調査では、回答者の半数が追加利上げは12月まで見送られると予想。高市早苗政権が利上げの障害になるとの見方も出ている。

政府が今週閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」を受け、高市氏の財政運営に対する懸念も円安圧力となっている。国内投資目標の実現策や、実施が見込まれる消費税減税や防衛費増額の財源について具体策は示されず、日本の長期的な政府債務の行方を懸念する市場参加者の不安を和らげるには至っていない。

イエメンの親イラン武装組織フーシ派が紅海でのタンカー攻撃を発表したことを受け、北海ブレント原油先物は1バレル=100ドルを突破し、ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物も92ドル台に上昇した。原油高を受け、市場は9月までにFRBが25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げを実施する可能性を完全に織り込んでいる。

三菱UFJ信託銀行ニューヨーク支店資金証券室のシニアバイスプレジデント、横田裕矢氏は「WTI原油先物が100ドルまで上昇すれば、ドル・円は164円台半ばまで上昇しそうだ」と指摘。164円目前まで円安が進む中、当局の出方に注目していると話した。

--取材協力:日高正裕.

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