対ドルの円相場が約40年ぶりの安値を付けたことが注目を集める一方で、円の総合的な強さを示す指標も警鐘を鳴らしている。

日本銀行が公表する名目実効為替レートは、貿易額で加重平均した通貨バスケットに対する円の価値を示す指標だ。今年に入り過去最低を更新し、下落基調が続いている。ユーロやポンド、アジアの主要通貨に対しても円安が進んでいることを反映している。

こうした下落は、円安がドルに対してだけでなく幅広い通貨に及んでいることを浮き彫りにしており、インフレや日本の購買力低下への懸念を強めている。貿易相手国全体に対する円安は、より幅広い国・地域からの輸入コストを押し上げるため、日銀が景気回復を損なうことなく金融政策の正常化を進めることを一段と難しくしている。

ニューバーガー・バーマンのシニアポートフォリオマネジャー、ウーゴ・ランチオーニ氏は「ドルだけでなく通貨バスケット全体に対する円の実質的な価値は低下を続けており、当局にとって懸念材料となり得る」と指摘。「今後十分な効果を上げるには、より強力な為替介入に加え、他の政策手段との組み合わせが必要になるかもしれない」と述べた。

当局は4月28日から5月27日にかけて、外国為替市場で11兆7300億円の為替介入を実施したものの、円相場が約40年ぶりの安値を更新するのを防ぐことはできなかった。

円相場は7月23日、ドルに対して1986年以来の安値を付けた。日米の大幅な金利差に加え、高止まりする原油価格や日本の財政見通しへの懸念の高まりが円売り圧力となった。ニューヨーク時間午後2時30分現在、円は対ドルで0.4%下落し、1ドル=163.78円前後となった。ブルームバーグが追跡する主要16通貨のうち、今月は3通貨を除く全ての通貨に対して下落している。

ブルームバーグ・ストラテジストの見方

「日本当局は金融引き締めが現実的な選択肢であるとのメッセージを発信し続ける必要がある。市場では依然として日銀の10月会合での利上げを完全には織り込んでおらず、トレーダーは確信を持てていない。円強気派が主導権を握るには、9月会合での利上げの可能性が現実味を帯びる必要があるだろう」

-MLIVストラテジスト、マーク・クランフィールド(シンガポール)

円安の長期化でインフレ上振れリスクが高まる中、日銀は利上げペースを半年に1回程度の市場見通しよりも加速させることに柔軟な姿勢だと、ブルームバーグ・ニュースが22日に報じた。

日銀は6月に政策金利を31年ぶりの高水準となる1%へ引き上げた。一方、市場では7月31日の金融政策決定会合では政策金利を据え置くとの見方が大勢となっている。市場参加者は次回の利上げを12月と予想している。

原題:Yen’s Slump Extends Beyond Dollar and Stokes Inflation Fears(抜粋)

--取材協力:Carter Johnson.

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