対ドルで約40年ぶりの安値を記録し、注目を集める円相場。その総合的な強さを示す指標も日本にとって憂慮すべき状況を示している。

日本銀行が公表する名目実効為替レート(NEER)は今年に入り過去最低水準を更新し続けている。日本の主要貿易相手国との貿易額で加重した通貨バスケットに対する円の価値を示す同指標の低下は、対ドルだけでなく、ユーロや英ポンド、アジアの主要通貨に対しても円安が進んでいることを反映している。

広範な円安の進行は、輸入インフレや日本の購買力低下への懸念を強めている。実効ベースでの円安は幅広い国・地域からの輸入コストを押し上げるため、景気回復を損なわずに金融政策の正常化を進めようとする日銀のかじ取りを一段と難しくする。

米資産運用会社ニューバーガー・バーマンのシニアポートフォリオマネジャー、ウーゴ・ランチオーニ氏は「ドルだけでなく通貨バスケット全体に対する円の実質的な価値は低下を続けており、当局にとって懸念材料となり得る」と指摘。「今後円安に歯止めをかけるには、より強力な為替介入に加え、他の政策手段との組み合わせが必要になるかもしれない」と述べた。

関係者によると、日銀は円安進行の影響を含めて物価の上振れリスクに警戒感を強めており、利上げペースを半年に1回程度の市場見通しよりも加速させることに柔軟な姿勢だ。市場は31日の金融政策決定会合では政策金利が据え置かれるとみており、12月までの追加利上げを予想する。日銀は6月に政策金利を31年ぶりの水準となる1%に引き上げた。

円相場は今週、対ドルで163円台に下落し1986年以来の安値を更新した。日米金利差の大きさや原油価格の上昇、日本の財政を巡る懸念が円売り圧力となっており、政府・日銀が4月末から5月にかけて計11兆円超の円買い介入を実施したにもかかわらず、円の下落基調が続く。円安は輸出企業の収益を押し上げる一方、食料や燃料など輸入品の価格上昇を通じて家計負担を重くしている。

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