ジャクソンホール会議は無風の公算

足元で再び原油価格が上昇したことから、FRBはさらにデータの蓄積を待つことになるだろう。7月28-29日のFOMCは無風となる可能性が高い。市場では9月FOMCにおける利上げ予想が増えており、8月27-29日に行われる予定のジャクソンホール会議が注目されている。

しかし、テーマは“Financial Innovation: Implications for Payments and Policy”(金融イノベーション:決済と金融政策への示唆)(筆者訳)であり、短期的な金融政策の動向は議論の中心にはならない可能性が高い。むろん、過去にもFRB議長がテーマとは関係なく短期的な見通しについて述べたこともあるため、一定の警戒は必要だが、現状ではジャクソンホール会議も無風となる可能性が高い。

ウォーシュ議長はインフレ懸念を抑制しつつ、できるだけ早いタイミングで利下げを再開できるよう舵取りをしているとみられる。そのため、現在のインフレ懸念を抑制しつつ、できれば利上げは回避したいところだろう。ウォーシュ議長は5つのタスクフォースを立ち上げたが、最大の狙いは時間稼ぎだろうと筆者はみている。

ウォーシュ議長は「タスクフォースは今後数週間以内に活動を開始する見通しで、秋ごろからある程度の情報や、彼らの見方の枠組みが出始め、全てではないにせよ、大部分が年末までに結論を出すことを期待している」(ロイター)と説明している。

想定よりも早めに政策の方向性を示せそうなら(時間稼ぎの必要がなくなれば)、秋ごろには政策変更に打って出る可能性はあるものの、年末まで様子見の時間帯が続く可能性が高い。いずれにせよ、ジャクソンホール会議がFRBの政策の転換点となることはないだろう。

日銀「利上げペース加速」報道は発言者次第の面があり、慎重にみるべき

7月22日、Bloombergは「日銀は利上げペース加速に柔軟姿勢、円安も物価上振れリスク増-関係者」との記事を配信し、「日本銀行は、利上げペースを半年に1回程度の市場見通しよりも加速させることに柔軟な姿勢だ。足元の円安進行の影響を含めて物価が想定から上振れていくリスクに警戒感を強めている。複数の関係者への取材で分かった」と報じた。

市場では、7月決定会合や9月決定会合で利上げを予想する向きは少ないものの、10月決定会合で利上げが実施される可能性が意識されている。7月30-31日の決定会合を控え、現在は様々なメディアが日銀審議委員などに取材を行っているタイミングと予想される。

今回の「関係者」が誰の発言かによって解釈は大きく変わることから、市場の反応は限定的だろう。6月決定会合では、リフレ派の浅田委員を除く全員(植田総裁は欠席)が賛成して利上げが決まった。しかし、その後に田村委員がタカ派的な講演を行うなど、タカ派とハト派の温度差が明らかとなっている。

例えば、Bloombergが報じた「関係者」が田村委員なら、ほとんどサプライズはない。7月決定会合からはハト派と予想される佐藤審議委員が加わったことも含め、執行部(総裁、副総裁)の3票の動向が重要である。むろん、今回の「関係者」が執行部である可能性は否定できないが、今後の情報発信を見極める必要がある。

(※情報提供、記事執筆:大和証券 チーフエコノミスト 末廣徹)