原油高でもAI・半導体関連株に投資資金は集中せず

7月22日の米国株式市場は、原油高が進む中で軟調な展開となった。前日は原油高によって金利が上昇し、行き場を失った投資資金がAI・半導体関連株に向かうような動きが見られたが、この日はナスダック指数が反落するなど、勢いは続かなかった。

SOX指数は小幅続伸となったものの、3~4月のイラン情勢の悪化時に見られたような、逃避的(リスク回避的)にAI・半導体関連株が選好されるような動きにはなっていない。インフレ懸念と景気減速懸念(すなわちスタグフレーション懸念)が強まる状況で、AI・半導体関連株の高値警戒感がセットになり、投資資金が行き場を失っている印象である。むろん、現在は米主要企業の決算が本格化する中で様子見の状況になっている可能性はあるが、当面(原油高が続いている間)は方向感を欠いた展開が続きそうである。

原油価格と比べてBEIは低い状態が続く

7月22日の米国債券市場では、原油高による短期的なインフレ懸念が強まる中、利上げ観測が強まり、実質金利が上昇した。長期金利は前日比+2.6bp、2年金利は同+3.6bpと、上昇した。原油高による短期的なインフレ懸念がFRBの利上げ観測を強めており、FF金利先物市場では9月までの利上げ確率が101.6%に達した(前日は83.7%)。

26年中の利上げ回数の織り込みは約1.71回となり(同約1.56回)、一段と警戒感が強くなってきた。引き続き、インフレ懸念はFRBの利上げ観測につながっており、長期のインフレ予想は安定している。この日も、10年実質金利が前日差+1.6bp、10年インフレ予想(BEI)が同+1.2bpという動きになっており、長期のインフレ予想が大きく上昇しているわけではない。

この日、WTI原油先物価格は86.83ドルとなったが、10年BEIは2.28%にとどまっている。過去の原油価格が現在と同じ水準だったときのBEIを振り返ると、3月中旬(原油価格が上昇し始めた局面)は2.35%程度、6月上旬(原油価格が下落し始めた局面)も2.36%程度だった。現在は原油価格の上昇に対してBEIが出遅れている。

これは、FRBの利上げ観測がインフレ懸念を抑制している(FRBがインフレ予想をアンカーしている)ことが背景だろう。FRBによる市場とのコミュニケーションは良好な状態と言え、FRBは必要であれば利上げを実施するというスタンスを示し続けるだろう。一方で、焦ってタカ派化するような可能性は低く、FRBのスタンスの変化によって債券市場が大きく変動する可能性は低い。