(ブルームバーグ):グーグルの親会社の米アルファベットは今年の設備投資見通しを最大2050億ドル(約33兆6000億円)に引き上げ、AI分野で主導権を握る競争を巡り、財務規律の欠如への懸念が再燃した。
同社は、今年の設備投資額の見通しを従来の最大1900億ドルから1950億-2050億ドルへ引き上げた。株価は23日に一時8%近く下げた。シリコンバレーで繰り広げられるAI開発競争の真のコストは、依然として大部分が見通せていないことを改めて浮き彫りにした。

アルファベットは、大手テクノロジー企業の中で最初に四半期決算を発表した。メタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コムが来週これに続く。4社は合わせて、AI分野への投資として今年最大7250億ドルを支出する見通しを4月に示していた。アルファベットの動向が示唆する通りであれば、その総額は来週末までにさらに膨らむ可能性がある。こうした投資の収益性は依然として不透明だ。
インベスティング・ドット・コムのシニアアナリスト、トーマス・モンテイロ氏はアルファベットの設備投資計画の拡大について、「好ましく受け止められない」と指摘。「金利上昇局面に加え、AIインフラの需給逼迫(ひっぱく)が続く中、同社が今後もキャッシュフローだけで投資を賄い続けられるとの見方は揺らぎ始めている」と述べた。
アルファベットの設備投資規模の大きさを示す別の材料としてキャッシュフローがある。ブルームバーグが集計したデータによると、四半期ベースのキャッシュフローは20年余り前の上場以来、初めてマイナスとなった。期間中のフリーキャッシュフローは59億ドルのマイナスだった。

同社は設備投資見通しの引き上げについて、AI向け計算能力の拡充を加速するとともに、クラウド顧客からの売上高拡大を図る取り組みを反映していると説明した。
今回の設備投資見通しは、AI投資に対する投資家の精査を一段と強める可能性がある。ウォール街では、アルファベットや主要競合各社によるAIへの巨額投資が利益を圧迫するのではなく、新たな成長を生み出していることを示す、より説得力のある証拠が求められている。
4-6月(第2四半期)決算は、その点で一定の進展を示した。クラウド売上高は247億7000万ドルとなり、前年同期比82%増加。ブルームバーグが集計した市場予想224億6000万ドルを上回った。クラウド事業の受注残は5140億ドルとなり、前四半期の約4600億ドルから増加した。
スンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)はアナリスト向け電話会議で、クラウド事業の好調な業績について、「AIインフラおよびAIソリューションに対する旺盛な需要に支えられた」と述べた。

グーグル・クラウドは、アルファベットのAI投資が成果を生み出せるかを測る最も明確な指標の1つとなっている。アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)やマイクロソフト・アジュールにはなお及ばないものの、AIスタートアップやAIアプリケーションの開発・導入に必要なインフラを求める企業顧客の需要を背景に、アルファベットの中でも最も急成長している事業の1つに浮上している。
モンテイロ氏はクラウド事業の売上高が市場予想を上回ったことについて、同社の投資が「高成長で収益性の高い売り上げへとつながっていることを明確に示している。契約案件は、設備容量が整い次第すぐに稼働している」と指摘した。
グーグルはクラウド事業の受注残高について、大半は「幅広い顧客層」との通常の契約によるもので、今後24カ月でその半分超を売上高として計上する見通しだと説明した。
検索広告の売上高は632億7000万ドルとなり、市場予想をわずかに下回った。同事業は引き続きグーグルの広告事業の中核を担っており、これまでのところAIチャットボットとの競争にも持ちこたえている。投資家にとって長期的な焦点は、情報との接し方が変化する中で、AIシステム「Gemini(ジェミニ)」が検索分野におけるグーグルの優位性を維持する一助となるかどうかだ。
Geminiの月間アクティブユーザー数は9億5000万人となり、市場予想を上回ったものの、第1四半期の水準を下回った。市場調査会社Eマーケターの主任アナリスト、ネート・エリオット氏は「Geminiは現在、『AI Overviews(AIオーバービュー)』と『AI Mode(AIモード)』に続く、グーグルで3番目となる利用者10億人規模の一般消費者向けAI製品となる目前まで来ている」と指摘した。
グーグルはGeminiシリーズの拡充を続けており、効率性の向上や企業向けAIアプリケーションへの対応を目的とした「Gemini 3.6 Flash」などの新モデルを投入した。一方で、「Gemini 3.5 Pro」の投入遅延を受け、コンシューマー向け製品や開発者向けツールで同モデルをどのように位置付けるのかを巡って疑問が生じている。これには、アンソロピックやOpenAIが開発者の支持を広げているAIコーディング分野も含まれる。
一方でピチャイCEOは説明会で「Gemini 4」へと話題を移し、その開発の進展に手応えを感じていると述べた。Gemini 4はグーグルが学習を優先して進めている、より大規模な次世代のフロンティアモデルだと説明した。

ピチャイCEOは、Gemini 4の投入後は新モデルの投入ペースを加速させ、「ほぼ毎月のペース」で新モデルを公開していくと述べた。これにより、定期的にアップデートを重ねるアンソロピックやOpenAIと肩を並べることになる。
動画配信サービス「ユーチューブ(YouTube)」の売上高は111億ドルとなり、市場予想を上回った。同事業は、コネクテッドTVやクリエイター主導のコンテンツ、視聴者やクリエイター向けの新たなAI機能の拡充を背景に、引き続きアルファベットの中核事業の1つとなっている。
ザックス・インベストメント・マネジメントのチーフ・マーケット・ストラテジスト、ブライアン・マルベリー氏は「ユーチューブは数四半期続いた低迷から脱し、前回よりやや改善した。しかし、この事業環境を考えれば、さらに良い業績を上げていてもおかしくないと感じる」と述べた。
アルファベットの投資ポートフォリオは、アンソロピックやスペースXなどへの出資を通じて、同社の業績を押し上げる要因となっている。投資評価益は約1000億ドルに達し、純利益を大きく押し上げた。同社は四半期報告書で、保有する株式には940億ドル相当のスペースX株が含まれ、このうち800億ドル相当には短期的な売却制限があり、残りには長期的な売却制限が設けられていると明らかにした。
生命科学企業ベリリーや自動運転部門ウェイモなどの長期事業を抱える「Other Bets(アザー・ベッツ)」部門の売上高は3億8200万ドルとなり、市場予想を下回った。ブルームバーグが報じたところによると、アルファベットは引き続きウェイモに経営資源を投入する一方、その他の実験的事業については、独立企業としての自立を進めようとしている。
同社が22日に発表した第2四半期の設備投資額は449億2000万ドルとなり、市場予想の441億5000万ドルを上回った。提携先への支払いを除く売上高は1036億ドルと、アナリスト予想平均の1010億7000万ドルを上回った。1株当たり純利益は9.11ドルと、ウォール街の予想を大幅に上回った。
ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、ショーン・チェン氏は「グーグルのクラウド事業の受注残高は5140億ドルに達し、このうち半分超は24カ月以内に売上高へ計上される見込みだ。これは契約に裏付けられた持続的な設備拡大を示しており、イノライトの有力顧客の1社と当社がみるグーグルからの受注を支える要因となっている」と指摘した。
原題:Alphabet Falls as $205 Billion Spending Plan Fuels AI Cost Fear(抜粋)
--取材協力:Mark Anderson、Tatiana Darie.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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