世界最大の独立系石油商社ヴィトール・グループのラッセル・ハーディ最高経営責任者(CEO)は、ホルムズ海峡を通過する輸送量が上向くなかで原油の見通しは妥当な一方、石油製品市場では需給逼迫(ひっぱく)の兆しが出ているとの認識を示した。

ハーディ氏は8日、シンガポールで開かれたS&Pグローバル・エナジー主催のアジア太平洋石油会議(APPEC)で、ホルムズ海峡を通過する輸送量は現在、日量約1000万バレルとなっており、このうち900万バレルが原油、残りが石油製品だと述べた。ただ、この推計には不確実性があり、正確な数量の把握は難しいという。

ハーディ氏は石油製品市場について「市場は相当逼迫しており、余裕もない」と述べた。さらに「在庫はほぼ底の底まで落ち込んでいる」と言及した。

世界の石油市場は今年、米国とイランの戦争に加え、ロシアとウクライナの戦闘継続で大きく揺さぶられている。ウクライナはロシアの製油所に対し、相次いでドローン攻撃を仕掛けている。原油先物は今年に入って約60%上昇したが、石油製品市場はそれを大幅に上回る上昇を記録している。ロシア政府が軽油の輸出を禁止したことも一因だ。

米国では、大半の製油所がフル稼働を続けているものの、軽油などを含む留出油の全米在庫はこの時期として、少なくとも過去25年間で最も低い水準にある。同時に、ガソリンスタンドでの軽油の平均小売価格は過去最高に上昇している。

ハーディ氏は会議で、世界の石油製品在庫が「なお減少している」と指摘。「在庫の減少に歯止めをかけるほどの精製能力が依然として稼働しておらず、世界各地の余剰在庫を引き続き取り崩している」と述べた。

中東では、ホルムズ海峡を通過して輸送される量が引き続きトレーダーの焦点となっている。海峡を巡って米国とイランの主張が対立し、船舶への攻撃が続いている。マッコーリー・グループは7日、原油と石油製品を合わせて日量約700万バレルが海峡を通過しているとした。戦争前は約2000万バレルだった。

ヴィトールが推計するホルムズ海峡の輸送量1000万バレルについて、ハーディ氏は「毎日確実に輸送できるわけではない」としたうえで、「船舶や保険、この困難な仕事を担う船長や乗組員に左右される」と語った。

さらに、この輸送量は「利用可能な精製能力を稼働させ続けるには、恐らく十分だ」とする一方、中東とロシアからそれぞれ日量200万バレルの石油製品輸出が失われたことで、石油製品市場は原油市場より深刻な危機に陥っていると述べた。

原題:Vitol Warns Oil-Product Stockpiles at ‘Bottom of the Bottom’ (1)、Vitol Flags Dwindling Oil-Product Stockpiles as Wars Drag On (2)(抜粋)

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