米ホワイトハウス当局者は、中国のムーンショットAI(月之暗面)が高性能AIモデル「Kimi K3」の開発に際し、米国製AIモデルやエヌビディア製半導体を不適切に利用したと非難した。同モデルは先週、高い性能でAI業界に衝撃を与えた。

ホワイトハウス科学技術政策局(OSTP)のクラツィオス局長は22日、SNSへの投稿で、同社が「(エヌビディア製)GB300搭載したサーバーを調達し、タイ国内にあるGB300にもアクセスしてAIモデルの学習に利用した可能性が高い」と指摘。ムーンショットが製品開発に当たり、米国の輸出規制やAI企業の利用規約に違反したと主張した。

クラツィオス氏が言及したGB300は、エヌビディアの「Grace Blackwell」世代の製品で、米政府は中国企業への販売を禁じている。トランプ政権はエヌビディア製「H200」の一部販売は認めているものの、より高性能なBlackwell世代の製品の販売は禁止を続けている。

米商務省産業安全保障局(BIS)は5月、AI半導体の輸出規制に関する通達で、中国国外にある中国企業に対しても先端半導体の販売を制限する方針を改めて確認した。トランプ政権は現在、一部企業がこの抜け穴を利用して、中国企業の海外子会社に先端AI半導体を出荷していなかったか調査している。

エヌビディアの広報担当者はこれまで、そうした抜け穴の存在を否定し、「存在しないものとして事業を運営してきた」と説明している。同社はクラツィオス氏の投稿に関するコメント要請には応じなかった。

「Kimi K3」は、中国のAI開発力がOpenAIやアンソロピックなど米国勢に大きく後れを取っているとの見方を覆した。ムーンショットによれば、総合的な性能ではアンソロピックのクロード「Fable(フェイブル)5」とOpenAIの「GPT-5.6」を除くすべての競合モデルを上回るという。

クラツィオス氏は、ムーンショットが「米国製AIモデルを大規模に蒸留する高度な社内プラットフォームを開発した」とも指摘した。「蒸留」とは、高度な既存の「教師」モデルを使って新たな「生徒」モデルを訓練し、元のシステムの能力を再現する手法だ。新規にモデルを開発するより、大幅に低いコストで済むことが多い。

ベッセント米財務長官も21日、蒸留を巡って同様の懸念を示した。ムーンショットには言及しなかったものの、中国を含む国外で開発されたオープンソースのAIモデルについて、米企業の知的財産(IP)を盗用していないか詳しく調査し、侵害の証拠が見つかれば措置を講じる考えを示した。

ベッセント氏はFOXビジネスとのインタビューで、「米国はAIの本拠地だ」と述べ、「国外モデルが、特に米国の優れた企業から知的財産を盗んでいることが確認されれば、それを理由に制裁を科す権限がわれわれにはある」と語った。

原題:White House Official Says Moonshot Accessed Banned Nvidia Chips(抜粋)

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