社会保障負担率の目標を設定へ

骨太方針2026の原案では、税・社会保障改革についても言及がなされている。現状、経済政策において重要な消費税減税や給付付き税額控除などの項目については、P(Pending)の記載となっており、具体的な記述はなされていない。特に消費減税のところで与党調整が難航していると報じられている。

本稿では、それ以外の部分における社会保障関連の主要施策や方向性についてまとめる。今回の骨太原案では「現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていくとの方針を実現するため、マクロ的な社会保障負担率の目標について検討を進め、社会保障改革について、2026年度中に改革の具体化と工程の明確化を図り、順次実施する。」との方向性が示された。社会保障負担率を新たな目標とすることが明記された点は新しい話である。

社会保障負担率とは何なのか?:下げ方は大きく4つある

社会保障負担率とは、社会保険料の負担総額(SNAにおける純社会負担)を国民所得で割った指標である。財務省が毎年「国民負担率」の内訳として公表しており、租税負担率と合わせたものが国民負担率となる。2024年度の実績は、国民負担率46.7%のうち租税負担率が28.2%、社会保障負担率が18.5%である。2025年度は17.8%(実績見込み)、2026年度は17.6%(見通し)と低下が見込まれており、「2027年度の社会保障負担率を2025年度と比較して上昇させない」というキャップは、この17.8%程度を天井とするイメージになる。

社会保障負担率を引き下げる方向性は、次の4つに整理できる。第1に、医療・介護費用そのものを減らすことである。第2に、自己負担割合を引き上げて保険給付の割合を引き下げることである。窓口負担の見直しやOTC類似薬の保険給付見直しなど、給付範囲の縮小・応能負担の徹底がここに含まれる。第3に分母の国民所得を増やすことである。第4に給付における公費割合を引き上げて保険料割合を引き下げることである。財源を社会保険料から税・国債へ付け替えることでも社会保障負担率は下がることになる。

正攻法は1つ目、2つ目の方策となり、骨太原案でもこの方向性の施策が並ぶ。第1の経路(費用そのものの削減)では、病床数の適正化と医療機関の連携・再編・集約化(2027年度以降の新たな地域医療構想)、医療・介護DXやAI活用による生産性向上、リフィル処方箋や地域フォーミュラリの全国展開などが並ぶ。自民党と日本維新の会の協議体が7月7日に取りまとめた「社会保障改革項目に関する具体的な骨子」(骨太方針2026に反映すると明記)は、これに加えて、費用対効果分析の指標の確立、国民健康保険の保険料水準の完全統一の前倒し、医療費適正化計画の次期改定に向けた抜本的な見直しを掲げた。

第2の経路(自己負担割合の引き上げ・給付範囲の縮小)では、介護保険2割負担の判断基準の見直し(2026年度中に結論)、OTC類似薬の保険給付見直しと対象範囲の拡大(2027年度以降)が期限付きで具体化されている。焦点となっている高齢者の医療費窓口負担について、原案では与党調整中(P)として保留されていたが、骨子は「原則3割となっている現役世代との間で、年齢によらない真に公平な応能負担を実現する観点から見直しを行う」と明記した。高齢者の負担割合を一律に3割へ引き上げる趣旨ではないものの、外来特例の在り方、負担割合の区切りとなる所得基準の見直し、対象年齢の引き上げなど「窓口負担の抜本的な見直し」が実施される方向だ。