(ブルームバーグ):ウクライナのゼレンスキー大統領は、シルスキー軍総司令官を解任した。解任を求める抗議活動が全国に広がっていた。
ゼレンスキー氏は21日夜、通信アプリ「テレグラム」で、後任にドラパティ統合軍司令官を充てると明らかにした。ブルームバーグは先に、ゼレンスキー氏が国民に人気のあるドラパティ氏の起用を検討していると報じていた。
シルスキー氏の解任により、ゼレンスキー氏は、16日に国内各地で抗議した数千人の要求に応じたことになる。
抗議活動のきっかけは、ゼレンスキー氏が先週、フェドロフ国防相(35)を解任したことだった。フェドロフ氏はシルスキー氏(60)と主導権を巡って対立していた。
ゼレンスキー氏はシルスキー氏の解任について、テレグラムに掲載した声明で「われわれは長い道のりを歩んできた。ウクライナの防衛は続いており、全ての兵士は尊厳をもって扱われなければならない」と述べた。
また、2022年にロシアがウクライナへの全面侵攻を開始した際、首都キーウの防衛に貢献したとして、シルスキー氏を評価した。軍参謀部の「体制」を変更する方針も示したが、詳細には触れなかった。フェドロフ氏には、ウクライナの技術開発を支援する「相応の役職」を提示したとも述べたが、具体的な説明はなかった。
フェドロフ氏は、戦時下の政権で最も有能な改革派の一人と国民の間で広くみられており、解任は強い反発を招いた。フェドロフ氏は先週、解任後の記者会見で、ウクライナ軍の在り方を巡ってシルスキー氏と対立し、ゼレンスキー氏にシルスキー氏の解任を求めていたと明らかにした。
フェドロフ氏はドラパティ氏の起用を歓迎し、「自由と正義を求める人々の闘いに、新たな息吹と希望をもたらす人事だ。無視できない変革を求める声でもある」とテレグラムに投稿した。自身が大統領から提示された新たな役職には言及しなかった。
大統領府のリトヴィン氏によると、ゼレンスキー氏は21日にフェドロフ氏と会談した。
シルスキー軍総司令官の後任に就いたドラパティ氏(43)は、改革志向が強く、部下を大切にする司令官とみられている。24年末に陸軍司令官に就任したが、ロシア軍による訓練基地への攻撃で兵士12人が死亡し、60人が負傷した責任を取り、1年足らずで辞任した。ただ、ゼレンスキー氏は軍にとどまるよう命じ、別の司令官職に起用した。
一方、フェドロフ氏は、ロシアによるウクライナ侵攻が5年目に入る中、自身が提案した改革を妨げたとして、シルスキー氏を批判していた。シルスキー氏は、軍の近代化や技術革新に抵抗していると広くみられていた。
フェドロフ氏は国防相としてドローン活用を強く推進し、はるかに規模の大きいロシア軍に対抗するには、高度な技術を活用した非対称戦略が必要だと主張していた。
1月に国防相に就任して以降、志願入隊を促す軍人給与の引き上げ、後方部門に配置された人員の精査、問題が指摘されてきた徴兵当局の抜本改革など、広範な改革に着手した。
シルスキー氏は、同氏と関係の深い旅団で徴集兵への虐待疑惑があったとする最近のメディア調査を受け、批判が一段と強まった。同旅団は疑惑を否定した。
モスクワで軍事教育を受け、残虐な人物を意味する「ブッチャー」との異名を持つシルスキー氏は、歩兵による突撃で多大な犠牲を出す旧来型の戦術を好む冷酷な司令官と長くみなされてきた。
今回の人事は、ゼレンスキー氏が対立していたザルジニー軍総司令官を解任し、後任にシルスキー氏を起用した24年以来、ウクライナ軍指導部で最大の刷新となる。
原題:Zelenskyy Ousts Army Chief Syrskyi After Nationwide Protests (1)(抜粋)
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