タイでは急速な高齢化に伴い年金負担や高齢者介護費用が増大しており、政府は家計の資金を株式や債券への長期投資に振り向けようとあらゆる政策手段を講じている。その一つが、日本の少額投資非課税制度(NISA)をモデルとする優遇税制だ。

タイ証券取引委員会(SEC)によると、新たな「タイ個人貯蓄口座(TISA)」の下で投資家は株式や債券、投資信託を含む幅広い金融商品に年間最大60万バーツ(約290万円)を投資できるようになる。家計資産の大半が銀行預金として保有され、金利が2%以下にとどまる現状を踏まえ、預金から目的に応じた長期投資への資産シフトを促すことが狙いだ。

この構想は約1年前に初めて示された。当時のタイ株式市場は、長引く政治的不透明感を背景に海外投資家の資金流出が続き、世界的に低調なパフォーマンスの市場の一つだった。

SECのポルナノン事務局長はインタビューで、「税制優遇を通じて、家計の貯蓄を投資へ振り向ける方法を検討している」と述べ、「急速な高齢化が進む中で、拡大する退職後の資金不足や年金格差への対応にもつながる」と説明した。

この取り組みは、アジアでも特に高齢化ペースの速いタイが、介護費用や年金給付負担の増加に直面する中で打ち出される。当局は、長期投資を行う国民を増やすことで老後資産の充実を図るとともに、国内の貯蓄資金を資本市場へ呼び込めると期待している。

タイでは現在、政府が認可した退職年金向け投資信託や長期貯蓄ファンドに投資する個人に対し、税制優遇措置を設けている。TISAが導入されれば、投資家が株式や債券へ直接投資することで税制優遇を受けられるタイ初の制度となる。同事務局長によれば、短期的な措置として導入され、たびたび制度変更が行われてきた既存の税優遇ファンドに代わる仕組みがTISAだという。

政府はまた、子ども向け口座の創設も検討している。この口座では利子と譲渡益、配当所得が非課税となる見通しだ。保護者は子どもが20歳になるまで、子ども1人当たり年間最大20万バーツを投資でき、幼少期からの長期的な資産形成を促すことを目指すとポルナノン事務局長は明らかにした。

原題:Thailand Plans Japanese-Style Savings Plan to Support Market (1)(抜粋)

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