(ブルームバーグ):AIへの巨額投資を進めるハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)の起債ラッシュが、ロンドンから東京まで世界の投資家のポートフォリオの重しとなっている。
ハイパースケーラーの社債は、価格下落やスプレッド拡大、マイナスの総合リターンなど、ほぼあらゆる指標で市場全体を下回るパフォーマンスに甘んじている。ブルームバーグが集計したデータによると、平均で含み損の状態にあり、今年は各種債券指数の中でも目立って運用成績が低迷している。
メタ・プラットフォームズ、アルファベット、アマゾン・ドット・コムなどの巨大テック企業は、データセンターやその他のAI関連インフラ投資の原資を確保するため借り入れを拡大しており、世界各地の資本市場から資金を調達している。相次ぐ起債は信用市場の資金吸収力を試す一方、大型のAI投資への懸念が、半導体メーカーやクラウドコンピューティング大手の株価を押し下げている。
RBCウェルス・マネジメントの欧州債券部門責任者ルファロ・チリセリ氏は、「AI向け設備投資を巡って何らかの失望が生じれば、その反応は1つの市場だけにとどまらない可能性がある」と述べた。さらに、「特定の発行体の問題として始まったとしても、他の市場にも影響が及ぶ可能性がある」と語った。同氏はテクノロジーセクターをアンダーウエートとしている。

ブルームバーグが集計したデータによると、2025年初頭以降に発行されたハイパースケーラー関連の社債の約79%は、取引初日と比べて、スプレッドが拡大している。発行価格からの下落幅は平均3.3ポイントに達し、トータルリターンでも平均1.4%のマイナスとなっている。これらの社債は現在、発行されたすべての市場で目立って運用成績が低迷している。
アルファベット、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・ドット・コム、オラクルの4社は、2025年初め以降に総額3000億ドル(約48兆7200億円)超の社債を発行した。このうち約800億ドル相当は英ポンド、ユーロ、日本円などの外貨建てで発行され、各社はほぼ一夜にして、各国・地域の債券指数で主要な発行体に急浮上した。
例えば、英ポンド建て市場では、アルファベットは投資適格債指数において非金融機関として最大の発行体となっている。スイス・フラン建て市場では、アマゾンとアルファベットが上位4社の借り手に入る。
ハイパースケーラー債への投資を避ける選択肢は、多くの投資家にとって限られている。特に社債指数に連動するパッシブ型ファンドや、ベンチマーク指数の構成比率に沿った運用を求められるポートフォリオマネジャーは、その影響を受けやすい。
足元の軟調な値動きは、今月実施されたアマゾンによる250億ドルの起債をきっかけに広がった。同案件はAI関連の大型起債としては応募倍率が低かった。起債の時期が、通常は社債発行が減速する夏場にさしかかっていることも背景にある。
JPモルガン・チェースのナサニエル・ローゼンバウム氏らストラテジストは、「現在のハイパースケーラー債のスプレッド拡大は、投資適格債市場が加速する起債ペースを合理的に織り込もうとしていることの副産物だ」と、14日付リポートで指摘した。
原題:Hyperscalers Drag Down Bond Gauges Across Global Markets (1)(抜粋)
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