IBMが先に発表した2026年4-6月(第2四半期)の暫定売上高が市場予想を下回ったことで、AIブームの恩恵を受ける企業と、それ以外のテクノロジー企業との格差が広がりつつある実態が浮き彫りになった。

同社は14日、顧客がAIシステム向けのサーバーやストレージ、メモリーへの投資を優先し、IBM製品への支出を減らす動きを予測していなかったと説明した。これを受けて株価は25%急落し、少なくとも過去58年で最大の下げを記録した。AIと直接関係のない製品やサービスを手掛ける大手テクノロジー企業が、AIブームのあおりを受け始めている実態を象徴する出来事となった。

「生半可な打撃ではない」。こう語るのは、ザックス・インベストメント・マネジメントのクライアント・ポートフォリオ・マネジャー、ブライアン・マルベリー氏だ。「AI以外のサービスにも需要はある。ただ、設備投資に充てられる資金には限りがあるため、予算がAI関連に吸い上げられてしまう」と指摘した。

こうした二極化を象徴するのが、営業や人事、IT管理向けソフトを提供するセールスフォースとサービスナウの株価動向だろう。両社の株価は今年に入り約3分の1下落し、S&P500種株価指数の構成銘柄で下落率ワースト20に入っている。一方、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は年初来で68%上昇しており、2009年以来の好成績となる勢いだ。

IBMの発表は、企業が従来型のIT製品やサービスへの支出の優先順位を下げる一方、AI関連インフラやセキュリティーソフトへの投資を優先している実態を浮き彫りにした。AIの普及で企業のサイバーリスクが高まり、こうした分野への需要が増えているためだ。

ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアナリスト、アヌラグ・ラナ氏によると、こうした支出配分の変化は、ワークデイやSAPなどのソフトウエア企業にも及ぶ可能性が高い。今後数週間でこれら企業が決算を発表する中、クラウド受注残高や新規サブスクリプション販売などの業績指標は、アナリスト予想を下回る可能性がある。サービスナウは22日に決算を発表する予定だ。

ラナ氏は14日付のリポートで、「業績未達の背景にはIT関連支出の変化があるとみられるが、市場では、AIがソフトウエアメーカーの中核事業を侵食し始めていると受け止められかねない。その結果、ソフト業界のバリュエーションには一段の下押し圧力がかかる可能性がある」と指摘した。

BIによると、ウォール街ではソフトウエア・サービス業界の利益予想の引き下げが続いている。同業界の2027年の利益成長率は16.5%と見込まれているものの、コンセンサス予想は7週連続で下方修正された。SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)株の指数は今年27%下落しており、ハイテク株の比重が大きいナスダック100指数の15%高と対照的な動きとなっている。

AIの恩恵を受けていない企業にとって最大のリスクは、メモリー価格の高騰かもしれない。顧客企業がAIインフラに不可欠なメモリーへの支出を想定以上に増やさざるを得ず、その分、他のIT投資に回せる予算が圧迫されているためだ。マイクロン・テクノロジーやサンディスクでは需要が供給を大幅に上回り、両社のメモリー製品の価格は株価とともに急騰している。その結果、AIインフラへの投資を進める企業は想定以上のコスト負担を迫られ、他の分野の予算にしわ寄せが及んでいる。

マーフィー&シルベスト・ウェルス・マネジメントのシニアウェルスマネジャー、ポール・ノルテ氏は「これまで個別に進んでいた複数のトレンドが、一斉に表面化したように見える。しかし、IBM以外でも同じような影響が出ているかどうかはまだ分からない」と指摘。「仮に他社でも同様の影響が確認されれば、多くの企業で売上高の伸びが鈍化し、利益も大きく圧迫される可能性がある」と述べた。

原題:IBM’s Warning Is a ‘Hammer’ Slamming Down on Tech’s AI Outsiders(抜粋)

--取材協力:Subrat Patnaik、David Watkins.

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