台湾株は17日、テクニカルな調整局面に入った。台湾積体電路製造(TSMC)の決算発表を受け、多額の設備投資や収益性見通しへの懸念が強まり、アジアの半導体関連株が全面安となった。

世界最大の半導体受託生産会社であるTSMCの株価は、台北市場で7.3%下落した。同社は通期の設備投資と売上高見通しを引き上げ、決算内容自体は総じて好意的に受け止められたものの、一部のアナリストや投資家はコスト上昇に加え、長年続くAIブームへの過熱感を懸念材料として挙げた。

台湾株の指標、加権指数は6.5%安で引け、6月の高値からの下落率が約11%に達した。直近高値から10%値下がりが調整局面入りの目安。

ブルームバーグが集計したデータによると、海外投資家は17日に過去最大となる58億ドル(約9400億円)相当の台湾株を売り越した。

ブルームバーグのアジア半導体株指数は6%余り下落。日本市場でのキオクシアホールディングスの急落が響いた。同社の株価は6月22日に付けた上場来高値からわずか1カ月弱で半値になった。

株式市場は、中国のAIスタートアップ、ムーンショット(月之暗面)が発表した新たなAIモデルにも不意を突かれた。同社は、このモデルが米国のOpenAIやアンソロピックの主要モデルに匹敵する性能を持つとしており、高度なAIモデルの学習に必要な半導体が従来より少なく済む可能性への懸念が広がった。

ギャブカル・キャピタルのポートフォリオマネジャー、レオニード・ミロノフ氏は好決算にもかかわらず株価が下落していることについて、「市場は少なくとも当面、半導体株から他の資産へ資金を移そうとしている」との見方を示し、株価収益率(PER)の水準も高くなっており「キオクシアが50%下落したとしても、まだ割安とは言えない」と語った。

米エヌビディア向け半導体の主要供給企業であるTSMCは、2026年の設備投資額を600億-640億ドルと見込み、従来予想から少なくとも40億ドル引き上げた。

通常であれば設備投資の増額は、特にその恩恵を受けるサプライヤーにとって好材料と受け止められる。しかし、決算発表を受け、日本のレーザーテックや台湾のグローバルウェーハズ(環球晶円)など主要サプライヤーの株価も下落した。

モルガン・スタンレーは、追加の設備投資は設備の価格上昇によるコストインフレが一因との見方を示し、利益率への悪影響を巡る失望感もあったと指摘。TSMC株は年初来でなお約50%上昇しており、市場の過熱や割高なバリュエーションを危惧する声もある。同社株は予想PER19倍で推移している。過去5年間の平均は18倍を下回る水準だった。

タイガー・ブローカーズの市場ストラテジスト、ジェームズ・ウーイ氏は、「今回の売りは、年初来の大幅上昇を経て半導体株に対する投資家心理が変化しつつあることを示しているのかもしれない。好調な業績が続いたとしても、現在の株価水準にさらなる上昇余地が十分あるのか疑問を抱いている投資家もいる」と述べた。

原題:Chip Stock Rout Deepens as TSMC Selloff Drives Taiwan Correction(抜粋)

--取材協力:Sunny Bangia、我妻綾.

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