(ブルームバーグ):スペースXは16日、巨大ロケット「スターシップ」の大規模な試験飛行を実施する。宇宙、衛星、AI事業を展開するイーロン・マスク氏の構想において、この機体は中核を担う存在だ。
打ち上げは、米テキサス州南部にあるスペースXの「スターベース」施設から現地時間午後5時45分(日本時間17日午前7時45分)を予定している。スターシップの最新型「ヴァージョン3(V3)」としては2回目の飛行となる。今回の試験では、改良型のスターリンク衛星を搭載して打ち上げる。衛星は試験任務の一環として、その後、大気圏で燃え尽きる計画だ。
このロケットは、宇宙空間へのデータセンター配備や衛星通信事業スターリンクの拡充に加え、人類を月や火星へ送り込むというマスク氏の構想の中核を成している。一方で、開発は爆発事故や機体の不具合、計画の遅延に見舞われるなど、困難な道のりが続いてきた。
今回はスターシップの13回目の試験飛行となり、6月に約860億ドルを調達したスペースXの大型新規株式公開(IPO)以来、初の打ち上げとなる。
スペースX株は上場直後に急騰したものの、その後は下落基調となり、15日の終値はIPO価格に近い135ドルだった。それでもウォール街のアナリストの多くは、なお同社株に強気の見方を維持している。
スペースXは、スターシップを完全再使用型ロケットとして設計している。打ち上げごとに「スーパーヘビー」ブースターと宇宙船「スターシップ」の両方を損傷なく地球へ帰還させ、再び宇宙へ打ち上げられるようにする構想で、これを実現したロケットメーカーはまだない。
マスク氏は、スペースXが年末までに改良型のV3で完全再使用を実現できるとの見通しを示している。スペースXはスターシップの開発に150億ドル(約2兆4400億円)超を投じてきた。
5月に実施した前回の飛行試験では、スターシップは模擬衛星の放出に成功した。一方で、ブースターは制御不能な状態で回転し、エンジン1基が予定より早く停止した。その後、これらの問題を修正するため、ハードウエアとソフトウエアの両面で改良を施したと、同社はウェブサイトへの投稿で説明している。
レイモンド・ジェームズのアナリスト、ブライアン・ゲスアーレ氏は13日付のリポートで「スペースXがすべての主要エンジンを正常に稼働させ、計画している再点火と着陸を実行し、耐熱シールドと姿勢制御翼に関するより充実したデータを持ち帰ることができれば、第13回試験飛行は第12回から大きく前進したことを示すものになると考えている」と指摘。スターシップの実用化は「スペースXへの投資判断における最も重要な要素だ」と付け加えた。
スタイフェルのアナリスト、ジョナサン・シーグマン氏によると、スターシップの試験飛行が成功すれば、次回の飛行では同機として初めて軌道到達を目指す可能性がある。
スペースXは、早ければ2028年にスターシップで宇宙飛行士を月面へ着陸させる計画について、米航空宇宙局(NASA)と総額40億ドル相当の契約を結んでいる。その実現には、宇宙空間で機体に燃料を補給し、人を乗せても安全な機体であることを実証しなければならない。スターシップは完全な軌道飛行を一度も達成しておらず、こうした課題はいずれも容易ではない。
16日の飛行計画は、これまでの飛行試験とほぼ同様の内容となる。
打ち上げでは、「スーパーヘビー」ブースターが33基の「ラプター」エンジンに点火し、スターシップを宇宙へ送り出す。スターシップは軌道投入に近い速度まで加速した後、ブースターが分離し、メキシコ湾へ着水する予定だ。
宇宙空間では、エンジン1基の再点火やスターリンク衛星20基の放出など、複数の試験を実施する。衛星は太陽電池パネルを展開し、レーザー通信を使ってスターリンクの通信網への接続を試みる。
衛星は放出から約20分後に地球へ落下し、大気圏で燃え尽きる見通しだ。スターシップは打ち上げから約1時間後、インド洋へ着水する予定となっている。
原題:SpaceX to Launch Giant Starship Rocket in First Flight Since IPO(抜粋)
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