米メタ・プラットフォームズはわずか2週間で、市場で見過ごされていた存在から人気銘柄の一角へと変貌した。投資家がフェイスブックの親会社であるメタのAI計画をようやく評価し始めたためだ。

同社株は7月に17%上昇し、上昇率はS&P500種株価指数構成銘柄の中で3番目に大きい。月間ベースでは2025年5月以来の大幅高となる勢いで、時価総額は2500億ドル近く(約40兆5000億円)増えた。6月には11%下落し、S&P500種の中でも下位に沈んでいたため、大きな反転だ。年初来ではなお横ばいに過ぎないが、1-6月(上期)に15%下落し、大手テクノロジー銘柄の中でも低迷が目立った状況からは大きく改善した。

15日の取引でも上昇は続き、3.1%高で取引を終えた。

上昇のきっかけは7月1日だった。メタがクラウドコンピューティング事業の計画を進めていると、ブルームバーグ・ニュースが報じると、同日株価は8.8%上昇した。先週にはマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が、コンピューティング能力への旺盛な需要を背景に、AIインフラの一部を外部に貸し出す案を検討していると述べた。同社は最近、最新AIモデル「ミューズ・スパーク1.1」も発表。開発者向けの有料プランを新設した。同社が企業向けにモデル使用料を課すのは初めてとなる。

メタ株を保有するガベリ・ファンズのポートフォリオマネジャー、ジョン・ベルトン氏は「株価材料が具体化し始めれば、メタのようにバリュエーションが大きく落ち込んでいる銘柄には一段の上昇余地があり、反発力を強める可能性がある」と述べた。

ベルトン氏の指摘通り、これまでの売りでメタ株は歴史的な割安水準に沈んだ。同社株の予想株価収益率(PER)は今後12カ月の利益予想ベースで約16倍。10年平均の20倍超を下回る。「マグニフィセント7」のテクノロジー大手の中で最も低く、S&P500種やナスダック100指数と比べても割安で取引されている。

6月下旬には、同社の予想PERは13倍前後まで低下した。過去にこれを下回ったのは22年から23年初めのインフレ急低下局面のみだ。この時期は、物議を醸した高コストのメタバース計画が始まった時期とも重なる。

メタ株の下落は長く続いた。25年8月12日に790ドルの高値を付けた後、約10カ月でおよそ30%下落し、6月末には563ドル前後となった。下落の一因は市場全体のローテーションだった。投資家はAI投資額の大きいメタのような銘柄を売り、数千億ドル規模の設備投資の恩恵を受けるメモリー製造などの半導体メーカーを買った。

ただ、この下落にはメタ固有の要因もあった。同社ではAIが広告収入を押し上げる初期の兆しが出ていたものの、事業全体でAIの活用方法を示すのに苦戦していた。さらに、同社の大規模言語モデル(LLM)は、OpenAIの「ChatGPT」やアンソロピックの「Claude(クロード)」など競合に後れを取っていた。

直近の下落局面の引き金となったのは、4月29日の1-3月(第1四半期)決算発表だった。同社はデータセンターの追加費用や「部品価格の上昇」などを理由に、26年の支出見通しを引き上げた。その翌日には、AI投資の一部資金を賄うため250億ドルの社債を発行。一連の発表は、メタの巨額AI投資がそれに見合う成果を生まないのではないかとの投資家の懸念を強めた。ザッカーバーグ氏が22年に打ち出したメタバースへの大型投資が実を結ばなかった記憶も呼び起こした。

投資家の信頼回復

CFRAでテクノロジーチームを率いるアンジェロ・ジノ氏は「投資家の間でメタへの信頼が欠けていたことが、PER低下の大きな要因だった」と述べた。

同社のAI計画が単に資金を投じるだけではなく、より具体的なものだと示す材料が求められていたのは明らかだ。成果が有望に見え始めた今、投資家は再び同社株を買う理由を見いだしている。

ウォール街は同社に強気だ。ブルームバーグが集計するアナリスト79人のうち73人が、「買い」相当の投資判断を付けている。平均目標株価は約816ドルで、今後12カ月で株価が約20%上昇する可能性を示している。

投資家は7月末に発表されるメタの4-6月(第2四半期)決算で、より詳しい手掛かりを得ることになる。同社は27%の増収を計上し、1株当たり利益(EPS)は前年同期からほぼ横ばいになると見込まれている。ただ、よくあるように、投資家が最も注目するのはAIとメタの各事業が今後どこへ向かうのかに関する最新情報だ。

原題:Meta’s $250 Billion July Leap Shows Traders Believe Its AI Plans(抜粋)

--取材協力:Soo-Hyang Choi、Sangmi Cha、David Watkins.

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